研究課題/領域番号 |
24791309
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
本田 有紀子 広島大学, 大学病院, 医科診療医 (60604486)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | CTU / 上部尿路腫瘍 / 撮像法 |
研究概要 |
血尿の原因として、結石の他に上部尿路(腎盂・尿管)腫瘍が重要であるが、その診断には侵襲的な内視鏡検査が必要であった。現在CT尿路撮像は、低侵襲で診断能も期待できるが、尿管蠕動、被曝等の未解決課題が残る。本研究の目的は、最新のDual Energy CTを用いた低線量多時相撮像データによる新たな画像開発(仮想全尿管拡張像、尿管および尿路上皮腫瘍の選択的描出像)であり、上部尿路腫瘍診断への応用を目指す。Dual Energy CTを用いて、virtual preenhanced imageによる被曝の低減、iodine selective imageによる尿路の選択的抽出および微妙な腫瘍濃染の検出等を考えている。更に、尿路の多時相撮像から非剛体変形統合法を応用し全尿管の拡張像を合成するソフトウェアを作成し、前述の技術を応用しDual Energy CTU の開発を目指する。 本年度は、ファントム実験を開始した。尿管ファントムを使用し低線量多時相撮像法、仮想全尿管拡張像の開発を行う。内径 3 mmのアクリルチューブに、模倣小結節および希釈したヨード造影剤を注入した尿管模倣ファントムを作成、このチューブを水で満たした円柱状容器(内径25cm)に埋没させた後、Dual Energy CTによるスキャンを行う。まず、Dual Energy CT scanに最も適した再構成スライス厚・間隔、スキャンFOV (field of view)、ディスプレイFOV、再構成関数等を検討した。 今後、開発した撮像法を臨床例で応用する際、その診断能を検証する予定であるため、以前の当院の上部尿路腫瘍におけるCT画像をretrospectiveに検証し、上部尿路腫瘍の診断法について現在論文を作成中である。これに基づき、新たな撮像法での診断能評価を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度から本格稼働している最新鋭320列MDCTを使用しているが、途中検出器の変更がありファントム実験を再度行うことが必要となったため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、ファントムデータに対して、非剛体変形統合法を使用して異なる径の尿管を合成する方法を開発する(仮想全尿管拡張像)。Dual Energy CTを応用し、iodine selective image、 preenhanced image、 virtual monochromatic image等を作成し、その適正化を行う。異なる線量で撮影された画像をフーリエ空間上で合成する手法を開発する。これにより、多時相撮像におけるX線被曝低減の手法の検討を行いその最適化を行う。また、仮想単純CTも同時に検証する。これらをもとに少数の患者に対して上記手法を適応し、ソフトウェアの改良を行う。この撮像法を用いて、上部尿路腫瘍が疑われCT尿路撮像を実施する実際の患者(30人程度)において、その診断能を臨床的に検証する。具体的には放射線診断専門医が視覚評価を行い、内視鏡・手術所見と対比する。 対象は、上部尿路腫瘍が疑われCT尿路撮像を実施する患者(30人/年程度)として、上記手法を適応し、その診断能を臨床的に検証する。上部尿路の描出については3人程度の放射線診断専門医が行う。その際に、放射線診断専門医間での評価の一致度につき統計学的検討を行う。また、内視鏡・手術所見と対比し診断能(感度、特異度、正診度、陽性的中率、陰性的中率など)を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験用のファントムを購入予定である。得られた結果の統計解析・論文作成のための資料・ソフトウェア・パソコン・英文校正などの費用、その結果を国内・海外学会へ発表するための旅費として使用する予定である。
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