研究課題/領域番号 |
24791310
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
竹内 麻由美 徳島大学, 大学病院, 講師 (90423417)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | MRスペクトロスコピー / 女性骨盤部 / 婦人科腫瘍 |
研究概要 |
3テスラMRI装置を用いてMRスペクトロスコピーの測定条件の適正化を行い、婦人科腫瘍を有する臨床症例について測定を行った。得られた各代謝物ピークの定性解析および定量解析データをもとに病理組織診断、組織学的悪性度のgrading、臨床的進行度、腫瘍内の脂質成分や粘液成分の有無、嚢胞内容液の成分等との対比検討を行った。充実部を主体とする腫瘍では悪性腫瘍でより高いcholineのピークと定量値を認める傾向がみられたが、壊死や嚢胞部を伴う病変では測定VOI内の充実部の減少により悪性度との有意な相関を認めないことが示された。一方、高度な悪性腫瘍では壊死を反映するlipidのピークが充実部・壊死部ともに検出され、良悪性の鑑別に有用な可能性が示唆された。この結果を踏まえた子宮体部腫瘍での検討では良性の平滑筋腫と悪性の子宮肉腫との鑑別に有用と考えられ、論文報告(European Radiology: in press)を行った。また、腫瘍の組織学的悪性度とスペクトル・パターンの対比検討を含む子宮内膜癌のMRI所見について欧州放射線医学会(2013.3)にて展示発表を行い(演題名Endometrial carcinoma: Diagnostic strategy by using advanced MR techniques)、 Cum Laude賞を受賞した。 卵巣良性腫瘍では機能性腫瘍である莢膜細胞腫の診断における細胞内脂質のピークの検出の有用性について論文報告(JMRI, 2012)を行った。 非腫瘍性病変では骨盤部膿瘍について測定を行い、起炎菌と代謝物ピークとの対比検討を行った。嫌気性菌感染の症例においては解糖系の亢進や発酵に伴うacetateおよびsuccinateのピークを検出し、起炎菌同定への有用性が示唆され、論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床症例の測定において症例数は順調に蓄積されており、予定された検討項目について現有するワークステーションを用いたデータ解析が進行中である。研究成果については国内外の学会で発表を行い、一部は論文報告を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については、上記のように研究はおおむね順調に進展しており、当初の予定通りの遂行を行うものとする。研究成果については積極的に国内外の学会において発表を行い、論文報告を予定する。また国内外の学会においてMRスペクトロスコピーの研究状況について情報収集を行い、新たな方法論や測定技術については可能な限り本研究への応用を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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