研究課題
PET用放射性核種である68Gaは、サイクロトロンを必要とせずに製造できるため、68Ga標識放射性薬剤の発展は、がんのPET診断普及へと繋がるものと期待される。そこで、多くのがん細胞に高発現している葉酸受容体(FR)に着目し、新規68Ga標識FRイメージング剤の開発を試みた。まず初めに基礎評価のために、半減期の長い67Ga(半減期; 78 時間)にて標識したFRリガンドの合成検討を行った。FRアゴニストを基本骨格とした67Ga-NOTA-NCS-folateおよびFRアンタゴニストを基本骨格とした67Ga-NOTA-NCS-thieno pyrimidine誘導体(67Ga-NOTA-NCS-TP)の標識合成を行い、高収率にて目的物を得た。続いて、FRを高発現しているKB細胞を用いた基礎的な評価を行った。最初に、67Ga-NOTA-NCS-folateの結合飽和実験を行ったところ、Kd値は40 nMと算出され、高い結合親和性を有することが示された。続く取り込み実験において、67Ga-NOTA-NCS-folate および67Ga-NOTA-NCS-TPはいずれもKB細胞に高い取り込み効率を示し、時間経過とともに集積が向上した。また、folateによる取り込み阻害実験により、FR選択的な取り込みであることが確認された。その取り込み率は67Ga-NOTA-NCS-folateよりも67Ga-NOTA-NCS-TPの方が高い傾向を示したことから、67Ga-NOTA-NCS-TPの方がFRイメージング剤として有望であることが示唆された。そこで、PETイメージング剤としての応用を目指し、68Ga-NOTA-NCS-TPの合成を同様の手法にて行い、高収率にて目的物の標識合成に成功した。現在、今回開発した68Ga標識リガンドの担癌マウスにおけるPET評価を進めているところである。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
The Scientific World Journal
巻: 2015 ページ: ID716514
http://dx.doi.org/10.1155/2015/716514
http://www.ph.nagasaki-u.ac.jp/lab/hygiene/index-j.html