研究課題/領域番号 |
24791320
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
井上 一雅 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (20508105)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 核医学 / 分子イメージング / 小動物イメージング |
研究概要 |
平成24年度の研究計画に沿い、多機能分子プローブの開発による術前術中のセンチネルリンパ節同定検査の統合を目的として、SPECT/X線CTおよび蛍光CT画像の高精度融合技術の検討を行ってきた。研究で使用しているSPECT/X線CT装置および蛍光CT装置の開発元メーカが異なり、この両装置に全く装置構造上の互換性が無かったことから、両装置に互換性のある小動物用の共通寝台の開発を進めた。具体的な検討項目は、共通寝台の形状、材質、マウスおよび麻酔装置の固定法である。共通寝台の形状(半円型、平面型)に関して、ガンマ線と比較して透過力の弱い蛍光を用いた断層イメージングにおいて、形状の違いが得られる画像に影響を及ぼすことを確認した。特に、蛍光色素が体深部かつ複数個のセンチネルリンパ節に集積を示した場合、問題が顕著に生じた。共通寝台の材質に関しては、その材質によって自家蛍光現象を確認し、結論としてポリカーボネット樹脂素材が適している事を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度に、蛍光CT(断層)装置を用いてマウスのセンチネルリンパ節の画像化を経験し、幾つかの制約があることを確認した。これらの制約が、SPECT/X線CTおよび蛍光CT画像を高精度に融合させるために必要不可欠な共通寝台の開発過程に影響が及んだため、当初の研究計画より若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光CT(断層)装置の根幹となる画像構築アルゴリズムに関する部分は、研究者に対して情報開示されない部分があるため、機器製造メーカと議論を進め、蛍光CT画像の改善を図る予定である。その上で、SPECT/X線CTおよび蛍光CT画像の高精度融合技術の確立を図る予定である。また、研究協力者からSPECT/X線CTおよび蛍光CT画像に加えて小動物用MRI装置にも対応可能な技術開発を打診されている。これも、これまでに報告のない新たな試みであるため、本研究成果により得られる臨床的意義を研究協力者と慎重に検討した上で実施して、実用的な共通寝台の開発を目指す。加えて、これと同時に、多機能分子プローブの開発も加速させる予定である。平成24年度に経験した蛍光CTイメージングは、唯一FDA承認されているインドシアニングリーンを用いて研究を実施してきた。今後、多機能分子プローブの開発に当たっては、当初の研究計画に沿って骨格を、99mTcで標識した2~2000 nm (分子量:70K~7M Da)のヒト血清アルブミン(コロイド血清アルブミンを含む)として、ICGおよびこれまでの報告で比較的良好な結果を示し ているCW800などの蛍光色素を結合させ、これらの組み合わせにより得られる物理的特性の異なる多機能分子プローブ開発および標識方法の確立を行う。具体的な評価項目は、これまでの研究から、プローブの分子量、大きさ、表面電荷量、蛍光色素の量子収率と蛍光収率などの物理的特性の違いにより、リンパ流への移行速度、停滞時間、二次リンパ節(下流)への広がりが異なることが分っているため、これらを評価項目とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度分の予算残額について、実験を遂行していく過程で、種々の問題が浮上して研究開始当初の計画に遅れが生じたため残額が生じた。平成25年度は、平成24年度に計画していた研究項目と多機能分子プローブの開発に注力する予定であり、研究遂行に必要な放射性同位元素(Tc-99m)、種々の蛍光試薬、生化学実験試薬などの使用する予定である。同時に、高精度融合技術に向けた共通寝台の開発を行うために、部品代、材料加工費、組織透過ファントムなどに使用する予定である。合わせて、ソフトウェア上での画像融合処理技術の確立を図るため画像処理ソフト類の開発に使用する予定である。
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