研究課題/領域番号 |
24791322
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
岩田 宏満 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40611588)
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キーワード | Spot scanning法 / 陽子線治療 / 生物効果比 |
研究概要 |
陽子線治療はX線治療の線量分布を凌駕し、またその生物効果も異なることがわかっており、将来的にはX線治療におきかわり、標準治療になりうる最先端の治療である。本研究にて、特に最先端の照射法であるSpot scanning法の基礎的研究を行った。 まずRange-modulation wheelを使用した陽子線Passive照射法のSOBP中心とX線治療との生物効果比をin vitroにて複数培養細胞を使用して測定した。測定法としては、まず実験系の確立を施行するため、専用の固定具などを受注・作成した。複数回の照射実験を施行し、測定結果は細胞種類によって異なるが、おおむね、従来の報告と同様に約1.1であった。 次に、Spotscanning法を使用したSOBP中心の陽子線治療と従来のPassive法、そしてX線治療とのそれぞれの生物効果比を測定した。同様に複数の培養細胞を使用して、照射実験を施行した。結果は同様に約1.1程度あった。 このことから、Spot scanning法での陽子線治療が、従来のPassive法での治療と同様な使用方法で臨床照射が可能であることが初めてわかった。この結果がわかったことにより、より複雑な形状への治療や小児への治療、また治療抵抗性の腫瘍(難治性)に対する新たな治療法の一つとなりうることがわかった。現在本研究での結果を論文作成中である。ただし今回の研究の結果からは、SOBP中心での結果であるため、さらにSpot scanning法の発展的な検討として、Distal offの治療効果や酸素効果比などを検討することで、最適な治療法や分割回数などを推定することができうると思われる。これを推定することで難治性癌への新たな治療戦略の一歩となりうる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vitroの複数培養細胞での陽子線治療のPassive法、Spot scanning法でのSOBP中心のX線治療との生物効果比は測定することができた。特に後者に関しては世界的にもまだ報告が少なく、これらに関して現在論文執筆中である。(すでに国内外学会での発表済み)
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今後の研究の推進方策 |
本研究に関して論文執筆中である。 今回の検討結果から、さらにSpot scanning法の発展的な検討として、Distal offの治療効果や酸素効果比などを検討することで、最適な治療法や分割回数などを推定することができうると思われる。これを推定することで難治性癌への新たな治療戦略の一歩となりうる。可能であればさらに科研費を獲得し、世界で2施設目のSpot scanning法ができる名古屋の治療機を使用して、多くの新たな研究を施行し、世界に発信していきたい
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次年度の研究費の使用計画 |
予定した海外発表などの旅費の経費より、実費として実験使用の物品代が重なった。まとまった旅費使用ではなく、こまごまとした物品購入により、予定した所用額がわずかに残った。 次年度には論文作成などを多く予定しており、統計解析ソフトなどの物品を購入する予定である。
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