研究課題
脳温度をMagnetic resonance imaging (MRI)にて非侵襲的に測定する方法のひとつとして、拡散強調画像から得られる脳室内脳脊髄液の拡散係数を利用する手法が近年提案されている。この撮像は、他に提案されているMRIによる温度計測方法とは異なり、一般の臨床現場で既に広くルーチン検査に組み込まれているため、日常臨床に活用されやすいという利点を有している。しかしながら、この手法の検討はまだ端緒についたばかりであり、この手法に関する種々の検討が必要な状況である。これまでに行った過去2年間の検討において、1.5 Tesla のMR装置を使用し、頭部疾患のない10名の健常成人ボランティアで研究を行った。その結果、まずこの手法により脳室温度は安定的に計測可能であることが確認された。また撮像条件のうち、motion-probing gradient の値の違いは、算出される温度に影響を与えないものの、スライス厚の違いは算出される温度に有意差を生じ、この手法を用いた検討を行う際には、スライス厚のより薄い撮像が望ましいことが明らかとなった。また脳室の温度は、鼓膜温度の変化とともに変動することも判明し、この手法を用いて様々な検討を行う際には、対象者の体温の違いも考慮に入れる必要があることが明らかとなった。以上の今回の研究で得られた知見を最終年度にまとめ、国際学会であるThe International Society for Magnetic Resonance in Medicine 2014 において英語発表を行った。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Neuroradiology
巻: 56 ページ: 809-815
10.1007/s00234-014-1384-5
Seminars in Ultrasound, CT and MRI
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