研究課題
前年度までにRFA中に発生するmicrobubbleが媒体(生理食塩水、リピオドール、ヒアルロン酸)注入によりどのように変化するか豚肺を用いて検討した。豚肺RFA中に頸動脈をエコーで観察したところ、リピオドール群では、焼灼前から高エコーが観察された。注入時に肺静脈に流入したリピオドールが高エコーとして観察されたためと考えられたため、追加で詳細な検討を行う事とした。まず、豚肺への媒体注入時の周囲への拡散について検討した。21G針で媒体をそれぞれ0.3ml注入し、X線透視の映像を録画して高精細モニターを用いて気管支、肺動脈、肺静脈への分布を検討した。結果は、媒体の気管支、肺動脈、肺静脈への分布は、リピオドール群(n=6)では、6/4/2であり、全例で気管支への分布がみられ、2例で肺静脈への分布がみられた。生理食塩水群(n=6)では6/1/0であり、全例で気管支への分布がみられ、1例のみ肺動脈への分布がみられたものの、肺静脈への分布は見られなかった。ヒアルロン酸群(n=5)では0/2/0であり、2例で肺動脈への分布がみられたのみであり、肺静脈への分布は見られず、最も周囲への拡散が少なかった次に臨床例での検討を行った。肺小結節に対するリピオドールマーキング時に頸動脈エコーを行うシステムを構築したが、CTガントリによる導線の制約やマーキングの手技への影響や被曝の問題があった。そこで多数例でリピオドールマーキング後の周囲への分布をCTで検討した(n=103)。結果は、リピオドールの周囲への分布は、肺実質が59マーキング、中枢の気管支が43マーキング、末梢の気管支血管束が26マーキングであり、肺静脈への分布はみられなかった。周囲への分布に伴う症状はなく、特に術後に動脈塞栓を疑うような症状はみとめなかった。臨床例ではリピオドール注入による体循環への影響の可能性は少ないと思われた。
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