本研究は、脳への集積が向上する可能性の高いインドメタシン誘導体に着目し、脳COX-2イメージング剤の開発を行うことを目的としている。 導入する側鎖を変化させた11C標識インドメタシン誘導体を合成・評価することによって、COX-2イメージング剤としての挙動を比較する。また、物理化学的性質、in vitro評価、in vivo評価と、様々な角度から評価を行い、COX-2イメージング剤の開発へと発展させていく。 当該年度において、Caco-2細胞を用いた脳移行性評価を行った。Caco-2細胞を用いた脳移行性評価には、前年度に合成した11C標識体は適さないため、in vitro評価を可能とする14C標識体の合成を試み、11Cだけでなく14Cでの標識合成にも成功した。 Caco-2細胞を用いた脳移行性評価によって、合成したインドメタシン誘導体のうち2種の化合物に、P糖タンパク質等の膜排出タンパク質と高い親和性があることを明らかにした。この結果は前年度に得られたin vivo評価結果を支持する結果であることから、インドメタシン誘導体の脳移行性にはP糖タンパク質等の膜排出タンパク質の寄与が大きいことを強く示唆していると言える。 研究期間全体を通じて、6種のインドメタシン誘導体を合成し、それらの11C標識合成法を確立することに成功した。そしてこれらのCOX-2イメージング剤としての挙動を様々な観点から評価することによって、今後のCOX-2イメージング剤の開発研究を発展させうる知見を得た。 今後は、本研究課題で明らかとなったCOX-2イメージング剤として求められる性質を満たしうる、ニメスリドを母体骨格とした誘導体の合成および評価を軸として研究を進めていく予定である。
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