研究課題/領域番号 |
24791332
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
齋藤 尚子 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (60366341)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 頭頸部癌 / 放射線治療 / 嚥下障害 / MRI |
研究概要 |
2007年4月から2013年3月までの6年間に行われた上咽頭癌の放射線治療後のMRIを対象とし、retrospectiveに検討を行った。除外項目は、治療前MR検査が無い症例、頭頸部領域における外科的手術や化学療法、放射線治療の既往のある症例、外科的治療が行われた症例、再発症例である。評価項目は、嚥下関連筋群、特に上・中・下咽頭収縮筋の筋肉の厚みを測定した。治療前と比較したこれら筋肉の変化として、absolute change (相対変化値)[治療後-治療前]と、% change(相対変化率)[(治療後-治療前)/治療前X100 (%)]を算出した。これらの評価項目を放射線治療後経過期間と放射線治療に伴う嚥下障害のgrade別に比較検討を行った。嚥下障害の程度は、CTCAE v4.0を用いて、grade 1-5で評価を行った。 上記の基準を満たした19人の放射線治療後の上咽頭癌患者のMRIを対象とし、retrospective に検討を行った。嚥下障害はgrade 2が9人、grade 3が10人で、放射線治療後の平均MRI観察期間は266.8日(1日~1123日)であった。放射線治療前と治療後の上・中・下咽頭収縮筋の厚さのabsolute changeと% changeは統計学的に有意に放射線治療後で厚くなっていた。放射線治療後4カ月のgrade 2群とgrade 3群の上・中・下咽頭収縮筋の比較では、いずれも統計学的に有意差を認めなかったが、中咽頭収縮筋の変化率がgrade 2、3群共に最も大きかった。 初年度は放射線治療による嚥下関連筋群の形態的変化を明らかにするために、放射線治療前、治療後、経過観察時のMRIを対象とし、咽頭収縮筋の厚みの測定を行い、嚥下障害の程度とretrospective に比較検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は放射線治療を行った上咽頭癌患者の上・中・下咽頭収縮筋の治療前、治療後のMR画像変化と嚥下障害の程度との関連性をretrospectiveに検討した。 今年度は、放射線治療が行われる頭頸部腫瘍患者を対象として、治療前、治療後、経過観察時の嚥下関連筋群の形態的変化をMRIで評価して、嚥下障害の程度と比較するprospective studyを行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究(Prospective study)は、放射線治療が行われる頭頸部腫瘍患者を同意の上、本研究にエントリーする。MRI検査を(1)治療前、(2)放射線治療後早期、(3)経過観察時に行う。撮像シークエンスは、T1強調像、T2強調像、拡散強調画像、ガドリニウム造影剤を使用したMR dynamic study、造影後T1強調像を撮像する。画像評価項目は、上・中・下咽頭収縮筋の筋肉の厚み、信号強度、ADC値、dynamic studyでの造影効果パターンについて評価する。筋肉の厚みやADC値については、治療前と比較した変化率を算出する。嚥下障害判定については、経過観察のMR検査と同時期に、嚥下障害の程度を評価する。初年度はretrospective studyであったため、MRI撮像機腫が異なるため比較することができなかったADC値、信号強度、造影パターンなどについても検討し、嚥下障害の程度との関連を検討していく。また、咽頭収縮筋群のみでなく、他の嚥下関連筋群の評価も行っていく必要がある。 そして、初年度に行ったretrospective studyと共に、prospective studyの臨床研究報告、論文作成を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
MRI検査を行う際のガドリニウム造影剤、測定を行うために必要なコンピューターと画像処理ソフト、論文英語校閲費として使用する予定である。
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