研究課題
前立腺癌に対し低線量率組織内照射を行った305例の経過観察期間66か月のデータと、高線量率組織内照射を行った178例の経過観察期間61か月のデータを解析し論文発表を行った。このように異なった線量率の放射線治療によって治療された前立腺癌の治療結果を解析することで前立腺癌の生物学的な特性を解析し、さらにPSAやグリソンスコアといった個々の患者に固有な因子を合わせて解析することでテーラーメイドな放射線治療の開発の基礎的なデータにできる。ただし経過観察期間がまだ短いため再発例が少なく、統計学的に強い相関を示す因子はみつかっていない。また、内分泌療法を併用している症例が多いため、純粋に放射線の効果だけを抽出するためには、少なくとも放射線治療後は内分泌療法を行っていない症例を選択して解析する必要があるが、これについてはまだ症例数、経過観察期間ともに短く今後検討していく予定である。また高線量率組織内照射を施行する際の精度管理に関する研究も行い、これについても論文発表を行った。放射線の効果を解析するには放射線治療が高い精度で実施されている必要があり、そのための研究として意義が大きい。上記、臨床的なアプローチにくわえて分子生物学的なアプローチを試みた。癌細胞内のDNAに対する放射線の影響やDNA修復タンパクの影響などを調査するための基礎実験の準備を進めてきた。まず細胞の反応を調べる前に放射線のターゲットとしてもっとも重要なDNAの各種放射線に対する反応を調べる研究を行う必要があり(なぜなら放射線による反応がDNA破壊の違いによるのかそれ以外の因子が関わっているのか確認する必要がある)、線量とDNAの二重らせん構造の破壊される量を比較する研究を始めたが、その基礎的データを得た段階で研究期間が終了となった。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件)
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