研究課題/領域番号 |
24791335
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
井上 政則 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (30338157)
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キーワード | 凍結治療 / 腎癌 |
研究概要 |
1. 小径腎癌の経皮的凍結治療が保険収載された.CTやMRIガイドで安全に施行可能であるが,完全に腫瘍を壊死させるには治療時に腫瘍自体からさらに凍結のマージンが数mm必要である.また治療後にラジオ波とは異なり,出血を来す危険が報告されている.凍結前に血管の塞栓を行う事で凍結範囲の拡大や出血の予防効果が期待できる可能性がある.そのため血流遮断下の腎凍結治療の研究を行った. 本年度は実臨床に応用することを念頭におき,豚を用いた動物実験を行った.バルーンカテーテルにて腎動脈を一時的に閉塞し,その状態で腎実質の凍結を行い,腎臓を摘出して病理標本の作成を行った.実験手順は以下の通りである. 2. (1) 全身麻酔下に血管造影室にて両側腎動脈にバルーンカテーテルをカニュレーションした.(2)直ちに手術室に移動し,開腹を行い,後腹膜腔から両側腎臓を露出した.(3)バルーンカテーテルをインフレーションさせ,腎動脈血流閉塞下にエンドケア社の2mm径凍結端子に40点のサーモカップルを取り付けて,凍結端子の周囲を同心円状に40点で温度測定を行いながら凍結10分-解凍-凍結10分-解凍のサイクルで凍結を行った.凍結後3時間程度の時間をあけてから両側腎臓を摘出し,ホルマリン固定を行った.H-E染色による病理標本を作成した(4)温度測定の等温曲線と病理所見の相関関係,昨年度に行った非塞栓による凍結群とスポンジェルによる塞栓後の凍結群との病理学的な比較を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに豚腎を使用して,通常の凍結治療,塞栓物質で腎動脈を塞栓した状態での凍結治療,バルーンカテーテルにて腎動脈閉塞下の凍結治療を行っている.全ての検体の病理標本を作製した.凍結治療中に温度測定を行った等温曲線のデータ収集を行った.現在は,病理検体の壊死範囲と温度測定の等温曲線との関係,各プロトコールでの凍結範囲の比較等の検討を行い,その結果を解析中である.
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今後の研究の推進方策 |
来年度は結果の解析を主に行い,さらに必要でれば追加実験を行う予定である.解析を行うにあたり,凍結時に測定した温度変化と病理所見に比較を行うが,このためには病理診断(壊死範囲)をする必要がある.これに関しては専門の病理医の協力が必要である.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の実験結果の解析が途中であり,追加の動物実験を年度内に行う事ができませんでした.このため繰越金が生じました.また予定していた学会も都合により参加できなかったため. 実験動物代金と実験に必要な諸経費,施設使用料金,さらに海外の学会発表,論文作成に使用する.また多数の病理(H-E染色)の診断が必須であり,そのための謝金にも使用する.
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