本研究の最終年度として、核医学用ガンマ線カメラである電子飛跡検出型コンプトンカメラの開発を進め、シミュレーションと解析手法の改善を行った。本年度の結果をもとに京都大学で進めている新しい技術に関して、今後の導入を検討した。 電子飛跡検出型コンプトンカメラに関する全体的な開発を行った。昨年から継続して開発先行している京大から開発機を借り本学専用のカメラとして構築し、以下の3点について開発を行った。 1、再構成アルゴリズムの開発、2、モンテカルロシミュレーションの構築用データ取得、3、新しい電子飛跡検出アルゴリズムの導入。 本研究では、開発を中心に研究を進め、最終的な結果から、臨床用のカメラとしての問題点を見積もることができた。今後の開発に重要な点として、空間分解能の向上、検出感度の向上の2点が最重要であると考えられる。臨床で用いられる核医学用ガンマ線カメラの精度は5mm以下が標準であるが、本研究では10mm弱であった。原因としては再構成アルゴリズムがまだまだ弱いことが考えられる。今後はこのアルゴリズム開発に注力していく。また検出器本体の性能向上も必須である。高計数率に耐えられる仕様の検出器開発は京大で進んでおり、今後はこの仕様を本学でも導入したいと考えている。そのためには大幅な改良が必要であるが、臨床応用を目指す上では重要は開発テーマである。 また今後、原子力研究所や京都大学理学部、薬学部と協力して新しい放射性薬剤の可能性のある核種の検討を行い臨床に沿った開発を継続していく予定である。
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