研究課題/領域番号 |
24791341
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
茂木 厚 独立行政法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (10433997)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 放射線生物学 / がん幹細胞 / HPV / 放射線感受性 / 免疫組織化学 |
研究概要 |
癌細胞におけるがん幹細胞マーカーの発現と、放射線感受性の相関を検討するため、まずは臨床検体を用いた病理組織学的検討を進めている。臨床検体を用いて研究を行うにあたり、国立がん研究センター東病院研究倫理審査委員会にIRBの申請を行い、研究許可を得た(頭頸部扁平上皮癌におけるHuman Papilloma Virus(HPV)関連蛋白やがん幹細胞マーカーの発現と放射線治療効果の相関に関する検討)。頭頚部癌のうち、中咽頭癌では、HPV感染が発症に関わるとされ、HPV感染を伴う症例の予後が良好であるとの報告がある。がん幹細胞マーカーの発現とHPV感染の関連性を検討し、頭頚部癌の放射線治療への反応性予測が可能となれば、治療法選択に有益な情報が得られると考えられた。当院において頭頚部癌へ放射線治療を施行した症例の診療録を検討し、治療前に生検あるいは手術標本が採取されている症例を研究対象とした。患者背景、治療後の局所制御率や予後に関する情報を収集し、解析を行ったが、すでに診療録上に報告されている組織学的分化度と局所制御率等の直接的な関連性は明らかでなかった。免疫組織化学染色法で検討が可能な症例は45症例あり、現在ホルマリン固定パラフィン包埋標本の薄切、未染プレパラートの作成を進めている。HPV感染の有無はp16の免疫染色で検討し、がん幹細胞マーカーの代表的なものとしてCD44を選択し、それぞれの一次抗体を購入した。加えて、細胞分裂能を検討するためのKi-67、代表的な細胞増殖因子レセプターであるEGFRについても、一次抗体を購入し染色の準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初細胞株を用いた分子生物学的な手法から研究を開始する予定であったが、研究環境の変化があり、臨床検体を用いた病理組織学的な検討から開始することとした。倫理委員会からの研究許可を得るために事務的な手続きにある程度時間がかかったが、現在実際の免疫染色が行われている最中であり、近日中に研究結果の一部が得られる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
頭頸部癌におけるがん幹細胞マーカーの発現と、臨床的な治療成績の相関について、中咽頭癌のみならず、喉頭癌についても検討を進める予定である。すでに診療録を用いた治療法、局所制御率、予後に関する情報解析は終了しており、標本が利用可能であることが確認できれば、免疫組織学的検討に着手する予定である。 本研究での結果次第では、乳癌、消化器がんへも研究対象を広げる。 また、状況に応じて、細胞株を用いたマーカーの発現についても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在のところ、免疫組織学的な検討が中心となっており、一次抗体の購入や染色に必要な試薬の追加購入に研究費を使用する予定である。 培養細胞を用いた研究を行うこととなれば、培養液などの購入や分子生物学的研究に用いる試薬をあらたに追加購入する。
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