研究概要 |
本研究の目的は、320列面検出器CTを用いた全脳CT灌流画像(CT Perfusion;CTP)と1H-MRSの定量解析を組み合わせて、神経膠腫における悪性度の鑑別を行うことである。320列面検出器CT(東芝製)を用いたダイナミックボリュームデータから、CTPのパラメータであるCBV(cerebral blood volume)、permeability imageの定量値算出とCTP map化を行った。その結果、神経膠腫のHigh gradeではLow gradeと比べCBV, permeabilityともに高値を示す傾向にあった。統計解析では、CBVでは有意差が認められなかったが、permeability imagingでは有意差が認められた(p=0.028)。3Tの高磁場MRI装置で施行された1H-MRSを対象に追加し検討した。1H-MRS解析では、3Tの高磁場MRI装置での検討において、Cho(/Cr)で悪性神経膠腫の方が良性神経膠腫と比べ高値を示しており、有意差(p=0.04)が認められたが、同様の検討を1.5T MRIで行った結果、有意差は認められなかった。1.5T,3T混合のMRSデータ解析では、Lipid(定量、/Crともに)悪性神経膠腫で有意に高値を示した(定量値:p=0.029, /Cr:p=0.021)。3T,1.5T個別にあるいは混合のデータを用いたその他のパラメータの解析において、有意差は認められなかった。 以上の結果から、悪性神経膠腫ではCTPではpermeability、MRSではLipid(定量値、/Cr)、Cho(/Cr)のパラメータにおいて有意に高値を示すことが示され、これらのパラメータが神経膠腫の悪性度診断に有望であると考えられた。今後はさらに対象数を増やして引き続き検討を続ける予定である。
|