研究実績の概要 |
本実験の初期成績について第71回日本医学放射線学会にて発表を行ない『第71回日本医学放射線学会Cypos賞Bronze Medal』を受賞した。本発表は、American Roentegn Ray Society Annual Meeting 2013にも招聘され、ポスター発表を行った。また、Minim Invasive Ther Allied Technol. 2014 Jan;23(1):52-4.に、研究成果が掲載された。 【目的】少量のトロンビンが血管内皮細胞のカドヘリンに作用し、血管透過性を亢進させることが注目されている。本研究では少量のトロンビンを併用した動注化学療法における薬剤の血中移行性および組織移行性を評価した。 【方法】10羽の日本白色家兎(3kg)の右大腿部にVX2腫瘍を移植した。VX2腫瘍移植の2週間後に腫瘍は約3cm径に発育した。トロンビン群:5羽に対して、マイクロカテーテルを用いて右大腿動脈より、イオパミドール0.3ml,リピオドール0.3ml,シスプラチン 3mg,トロンビン300単位の混合液を緩徐に注入した。対照群:5羽には、イオパミドール0.3ml,リピオドール0.3ml,シスプラチン 3mgの混合液を注入した。薬剤注入5分後および10分後に採血を行い、血漿中白金濃度を測定した。薬剤注入30分後にVX2腫瘍を摘出し、組織内白金濃度を測定した。 【結果】トロンビン群および対照群において、血漿中白金濃度は、5分後が0.59±0.28μg/mlと2.7±1.2μg/ml、10分後が0.70±0.078μg/mlと2.2±0.58μg/mlだった。薬剤注入30分後の組織内白金濃度は、4.1±1.8μg/wet・g、1.0±1.2μg/wet・gだった。 【結語】少量トロンビンの混和により、動注化学療法における薬剤の組織停滞性、組織移行性が向上した。
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