研究課題
まずファントム実験によって、dual-energy CTイメージングにおいて仮想単色X線画像の表示エネルギー60keV、逐次近似法を応用した画像再構成(ASiR)のフィルタ補正逆投影法(filtered back-projection法:FBP法)に対するブレンド率30%、造影剤投与量を標準の3割減 (420 mgI/kg)とする新たな検査プロトコールを決定した。次に臨床検討として、この造影剤低減プロトコールで54症例の画像データを集積し、同時期に標準の多時相肝CTプロトコール(従来のsingle-energy CT、造影剤量600 mgI/kg、120kVp、ASiR 30%)で検査した54症例の画像を比較した。肝の実質や血管の造影効果について定量的・定性的評価を行った結果、造影剤低減プロトコールでは、画質を保ちながら標準プロトコールと同等の造影効果を得られることが明らかとなった。被ばく線量は、dual-energy撮像の管電流設定が段階的であることにより、標準プロトコールより若干大きかった。その差は人体への影響と診断上得られるメリットを考慮すると十分に許容範囲内であるものの、若年者では適用に一考を要すると考えられた。X線検査における造影剤腎症が注目されている昨今、とくに腎機能不良患者の肝CT検査計画において、本研究の寄与は大きい。研究結果を国内外の放射線医学学会で発表し、論文の投稿準備中である。
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