研究目的は、低エネルギーで原子番号の高い物質のX線減弱が大きくなることを利用し、ヨード造影下の多時相肝CT検査で造影剤の低減と被ばく線量の最適化を行うことである。まず人体模擬ファントム実験を行い、dual-energy CTイメージングを用いて、造影剤投与量を従来の3割減 とする新たな検査プロトコールを決定した。臨床検討を行い、画質を保ちながら従来法と同等の造影効果を得られることが明らかとなった。被ばく線量は、従来法より若干大きかったが、本稿執筆時点では使用装置の更新により改善されている。本研究成果は、高齢者や腎機能不良患者の肝CT検査において造影剤腎症のリスク低減に役立つ。
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