研究課題/領域番号 |
24791347
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
丹喜 信義 広島国際大学, 保健医療学部, 助手 (60441573)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | MRI / 磁化移動効果 / 化学交換 |
研究概要 |
研究の目的:化学交換飽和移動(CEST)イメージングは,生体高分子と水分子の間の相互作用を反映した磁気共鳴画像(MRI)の新しいイメージング法として注目を集めているが,得られる画像の解釈を含めて不明な点も多い.CESTイメージングは,これまでに研究が続けられてきた磁化移動(MT)イメージングと比較し,より選択的に高分子の情報を観察していると考えられている.現状では2枚の画像(飽和RFパルスを照射・非照射)を撮像し磁化移動比を計算,あるいは標的プロトンと自由水のプロトンの共鳴周波数に対して対称な位置にあるオフセット周波数に対して飽和RFパルスを照射して取得した画像との差分画像のコントラストを用いて評価が行われている.我々は標的プロトンと自由水プロトンの交換率を定量することで,磁化移動に基づくイメージング法を用いた画像診断の一助になるのではないかと考えている. 具体的内容:平成24年度には数値シミュレーションを用いて交換率推定の基礎的な検討を行った.まず文献を基にして標的プロトン,自由水プロトンの緩和時間・存在比等のパラメータを決定し,飽和RFパルスと自由水プロトンの信号強度の関係を表すZスペクトルを作成した.次に,このZスペクトルを基に化学交換を考慮したブロッホ方程式を用いて交換率を推定した.今年度の検討では交換率の推定結果にばらつきがみられ,解析手法の工夫が必要であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では平成24年度に数値シミュレーションによる検討を行った後,その結果を平成25年度におけるCESTイメージングの実験に活かす予定だったが,解析手法の検討に時間を要しており,平成25年度もシミュレーションによる検討を続ける必要が生じている.
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今後の研究の推進方策 |
CESTイメージングで観察される信号の解釈について様々な報告が行われており,得られた画像には,対象とするアミドやヒドロキシル基のプロトンからの信号だけでなく,様々な生体高分子の影響や核オーバーハウザー効果が含まれていると考えられている. 「研究実績の概要」の項で示したように,シミュレーションによる検討において解析手法の検討を要すると共に,新しい知見も考慮したシミュレーションを行っていく必要がある. また簡便に実験を行えるMTイメージングにおいても同様の検討を進め,CESTイメージングにおける定量的評価法開発の参考にしたいと考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は成果がまとまらず学会発表が少なかったこともあり使用予定額より残額が生じた.平成25年度は所属の変更に伴い,実験試料作成のため購入を要する機器等があるため,実験機器の購入を計画している.
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