研究課題/領域番号 |
24791347
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
丹喜 信義 独立行政法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 技師 (60441573)
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キーワード | MRI |
研究概要 |
本研究の目的は,生体高分子と水分子間の相互作用を利用した磁気共鳴画像(MRI)の撮像法の一種である化学交換飽和移動(CEST)イメージングについて定量的評価法の開発を行うことである.本手法において定量的な評価法を確立することで従来のMRIでは描出することが難しかった生体内化合物のマッピングおよび生体内でのpH変化のような生体内情報の取得が期待される.本年度における研究計画の内容はCESTイメージングに関する数値シミュレーションを行った結果と実機を用いた実験による結果の比較であったが,本年度はCESTイメージングの実験は行えなかったため,CESTイメージングの実験と並行して実施する予定であった磁化移動(MT)イメージングにおける定量的評価の検討を行うための実験を先行させて行った.この実験ではMTイメージングで画像化の標的とする高分子由来の情報とその他の情報を区別するために交差緩和率と呼ばれる指標を短時間で推定してシミュレーションとの比較を行うことによりCESTイメージングの定量的評価法の検討の参考にする予定であった.実験によって推定した交差緩和率の値は数値シミュレーションにより算出した理論値と乖離した.そのため本年度の検討では交差緩和率がMTイメージングの定量的評価に有効であることは示せなかった.原因としては今回,実験に用いた装置はMTイメージングの効果を調節する撮像条件が制限されていたことも影響していると考えている.本年度の検討結果については,第41回日本磁気共鳴医学会大会において報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では,平成24年度に行った数値シミュレーションの結果をもとに平成25年度にCESTイメージングの試薬を用いた実験を行い数値シミュレーションの結果と試薬を用いた実験結果との比較を行う予定であったが,本年度ではCESTイメージングの実験は行えておらず,当初の予定より,やや遅れていると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,これまでの結果を踏まえ,シミュレーションベースによる検討から実験による検討を進める予定である.実験では新たなCESTイメージングの標的の探索も予定している. 状況によっては,シミュレーションによる検討をさらに詳細に行うことも考えられる.
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品については,研究に必要なものは購入しているが,当初,想定していた高額な試薬などを購入しておらず,使用額が交付額を下回っている. 旅費については当初の計画より学会や実験のための出張が少ないため,交付額を使い切っていない. 平成26年度の研究費は計画通り,消耗品と交通費・旅費として使用する予定である.
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