研究実績の概要 |
平成27年度は平成26年度に続き,コンピュータによる数値シミュレーションを実施した.CESTイメージングの画像コントラストはCEST効果を生じる官能基を有する物質の濃度だけでなく,物質の化学交換率やpH,組織の磁気緩和特性など生体や試料の特性による影響を受ける.またMRI装置や撮像条件による影響として,CEST効果を生じさせるために印加するラジオ波の強度や間隔も大きく影響する.研究期間全体における検討を通して,現在,CESTイメージングにおける画像コントラストを評価するために用いられている「磁化移動比の非対称性(MTR assymmetry)」のみで画像コントラストの定量的評価を行うのは困難であることが示唆されたが,今年度内の検討では,画像コントラストを的確に表現できる評価指標の確立を行うことはできなかった.また定量的評価を行うためには,高画質のMRI画像を取得する必要があり,CESTイメージングの画像取得段階において撮像の高速化や磁場不均一の補正などの技術開発も必要であることが分かった. 今回の研究期間の検討において,数値シミュレーションとMRI装置を用いた簡易的な実験を実施したことで,CESTイメージングにおいて撮像対象由来の因子と撮像装置・撮像条件由来の因子が,どのように画像コントラストに影響を与えるかについて,知見を得ることができた.この知見を基に定量評価のためのモデル作成を継続して進めている.
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