研究概要 |
加速器を用いたMo-100(p,2n)反応によるTc-99mの直接製造において,その自動製造・精製法に関する開発,Tc-99m並びにTc-99gをはじめとする副生成核種の生成量,及び市販される標識キットへの適用評価を行った。 標的物質にMo-100を採用し,1)標的の遠隔調製を目的にMoO3溶液を噴霧・乾燥させることによる製造法,2)Tc-99m製造量増加を目的とした粉末状単体Mo-100をそのまま照射する垂直照射製法それぞれの開発を行った。陽子エネルギー18MeVを利用するとき,前者は約5.6 mCi/μAh,後者は約8.0 mCi/μAhの収率(いずれも照射終了時)でそれぞれTc-99mを得ることに成功した。照射後,Tcに対し選択的吸着を示すカラム2種(TEVA,AnaLig-Tc02)を併せて利用することにより,高純度の[Tc-99m]TcO4-を75分以内に単離精製することが出来た(標的の溶解時間を含む)。 上記条件にて副生成するTc-99gをTc-99g/Tc-99mの比で表すとき,1~6時間照射において,2.6~3.8になると評価した。また,濃縮同位体純度99.6%のMo-100を利用するとき,その他のMo同位体からTc-94(1時間照射あたりTc-99mに対し0.03%), -95(同0.04%), -96(同0.01%)並びにMo-99(同0.03%),Nb-97(同5%)が生成することを確認した。 得られた[Tc-99m]TcO4-は99%以上の放射化学的純度を有し,当該Tcを市販される標識キットへ応用した場合でも,一つのキットをのぞき良好な標識結果(>95%,Radio-TLC評価)を得ることに成功した。標識不良を示した当該キットは,高比放射能のTcを必要とすることが知られており,加速器製Tcの応用範囲として妥当な結果であると考えられた。
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