研究課題/領域番号 |
24791356
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
岡田 真希 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 研究員 (00415407)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 血液脳関門 / PET / アミノイソ酪酸 |
研究概要 |
リポポリサッカリドによるBBB局所破綻モデルラットを用いた[11C]AIBのPET撮像を行った。その結果、対照側と比べて、BBB破綻側では[11C]AIBの優位な集積が認められた。破綻領域がごく小さいにもかかわらず、[11C]AIB PETで高感度に測定することが可能であった。 同様のモデルを用い[11C]AIBとエバンスブルーをほぼ同時に投与し、[11C]AIBの集積とエバンスブルーの染色領域の比較を11C-ARG法と蛍光検出法で行った。その結果、[11C]AIBと、エバンスブルーの染色領域はほぼ一致していたことから、[11C]AIBの集積はBBBの破綻に由来するものと示唆された。 [11C]AIB投与後の動脈血および脳ホモジナイズサンプル中の代謝物分析を継時的(-60分)におこなったところ、血中、脳内の[11C]はすべて未変化体([11C]AIB)として検出され、他の化学形の物質(代謝物)は検出さなかった。このことから[11C]AIBは長時間にわたり体内で安定であることが証明された。血中の[11C]AIBは投与20分後には投与した放射能量の0.5%にまで素早く消失するが、その後は長時間にわたりその濃度が維持されていた。 血中動態とPETの結果をもとにPatlak Plot法によって取り込み定数Kiを求めたところ、すでに報告されている[14C]AIBのKiと同等の結果(Ki=0.85×10-3)が得られた。BBB破綻側のKiは2.4×10-3であり、[11C]AIBの取り込みは顕著に増加してることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度は当初の計画通り、[11C]AIBを用いた研究を中心に行った。 PETやARGによる [11C]AIBの集積を従来のBBBの測定手法と比べることによって、[11C]AIBのBBB測定用のPETプローブとしての有用性を検討した。 また当初の計画にあった[14C]スクロースとのダブルARGも行ったが、[14C]スクロースのARGにおいて有用な結果が得られなかった。そのため、[14C]スクロースとの比較をエバンスブルー染色との比較で代替した。 また、他の薬物を用いたBBB破綻モデル動物、腫瘍移植モデル動物の作成や、他の候補薬物の合成なども行った。 これらは交付申請書に記載した計画の目的の内容に沿って、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
新たな候補薬物のPETプローブとしての有用性の検証と、[11C]AIBとの比較を行う。 また、異なるBBB破綻モデルラットの作成や腫瘍移植モデルを用いた研究を行う。 PETによるBBBのイメージングと造影MRIによるイメージングとを比較することで、PETを用いたBBBイメージングの有用性を探る。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度で論文発表用に申請した研究費が次年度繰り越し分として生じた。 (24年度内で論文発表まで至らなかったため) 次年度でも論文発表用予算を申請しているため、当該研究費は次年度で消耗品として使用するものとする。
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