研究課題
2012年~2013年度の結果を受け、本年度は多細胞球状体(スフェロイド)を用いて、不均等線量分割による細胞致死効果と転移能抑制効果を検証した。細胞はマウス骨肉腫由来高転移株であるLM8を用い、スフェロイドの形成には96ウェルスフェロイドプレート(住友ベークライト社)を用いた。LM8をプレートで7日間培養しスフェロイドを作成した。これに対し1回線量を0.36~11.44Gyで変化させ、不均等5分割照射を実施した。具体的には、初回2回高線量群、最後2回高線量群、最初と最後の1回ずつ高線量群及び均等分割群の4群による効果を調べた。スフェロイドに対する細胞致死効果は、スフェロイド制御率(Spheroid Control Probabliity:SCP)で評価し、転移能抑制としてはMatrigel Invasion Assayにて浸潤能の変化を評価した。X線では均等分割群に比べ初回2回高線量群のスフェロイド制御率が顕著に高く、最後2回高線量群が最も低かった。スフェロイドを50%制御するSCD50の値は、均等分割群で15.5Gy、初回2回高線量群で11.9Gy、最後2回高線量群で17.0Gyであった。一方、炭素線では均等分割群で7.8Gy、初回2回高線量群で5.8Gy、最後2回高線量群で8.3Gyと均等分割と不均等分割の間で有意差を示さなかった。浸潤能抑制の点では、X線では最後2回高線量群において低線量域(5Gy以下)での浸潤能亢進が著しく、均等分割群に比べ有意に浸潤能が亢進した。一方で、最初2回高線量群では、低線量域での浸潤能の亢進が小さく、均等分割群より有意に浸潤能を抑制した。以上の結果より、細胞実験だけでなくスフェロイドのような3次元構造を有するモデルにおいても初回高線量群が細胞致死及び転移能抑制の観点から有用であることが示された。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 3件) 図書 (2件)
Journal of Radiation Research
巻: 55 ページ: i137-i138
10.1093/jrr/rrt185
Radiation Biology Research Communications
巻: 49 ページ: 263-283
巻: 55 ページ: i135-i136
10.1093/jrr/rrt188