研究課題/領域番号 |
24791362
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研究機関 | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
南本 亮吾 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (40511655)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 放射線 |
研究概要 |
本研究は、放射線診療分野におけるがん患者の個別化医療の実現を目指し、日本国内で開発されたDNA合成を反映する新規PET製剤(11C-4DST)を利用した「病変の悪性度評価」と予後予測を行うものである。DNA合成を反映するPET製剤である11C-4DSTを用いて非侵襲的にDNA合成の画像化を行い、病変個々の悪性度を病理学的診断と比較する。当施設で、病変の良性・悪性の鑑別を要すると判断された患者に対し、11C-4DST-PET/CTとFDG-PET/CTを施行した。11C-4DST-PET/CTとFDG-PET/CTの画像所見を確認し、対象病変に対するそれぞれのPET製剤の集積度を半定量的評価であるstandardized uptake value(SUV)を用いて測定し、記録を行った。平成24年度は肺癌、頸部癌、骨髄腫69例に対して撮影が行われた。11C-4DSTは肺がんリンパ節転移の検出感度が非常に高く、有用性が示唆された。11C-4DSTの集積度と血清チミジンキナーゼ値との相関性は現在確認中である。対象病変は、組織採取による病理学的評価を行い、11C-4DST-PET/CTとFDG-PET/CTの画像所見との対比を行った。病理学的評価は、病理医による診断と免疫学的染色(Ki-67)に基づく細胞増殖能を示すMIB-1 indexの算出によって行う予定である。組織評価は、頸部癌、肺癌を中心に39例に関して行われた。研究に参加した患者における臨床経過の調査は肺癌、頸部癌を中心に開始した。検査後の副作用の出現は認められていない。肺癌患者における11C-4DSTのリンパ節転移の評価に関しては、2012年10月に日本核医学会総会(札幌)で公表し、11C-4DSTの良悪性の鑑別の可能性に関しては、2012年6月に米国核医学会(マイアミ)で公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
11C-4DST-PET/CTは肺がん患者19名(計45回)、頸部癌患者20名、骨髄腫患者30名に対して撮影を行った。また、肺がん患者に関しては、再発、予後に関する調査も開始した。当初の計画以上に進展している。一方で病理学的な検証に時間を要している。症例数が計画よりも多く、11C-4DSTの原材料を購入するために、25年度以降の予算の前倒し申請を行い、承認された。
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今後の研究の推進方策 |
11C-4DST-PET/CT(4DST), FDG-PET/CT(FDG)の撮影。病変の良性・悪性の鑑別を要すると判断された患者に対し、4DSTの検査を行い、その後FDG検査を施行する。4DSTとFDGの画像所見を確認し、それぞれのPET製剤の集積度を半定量的評価であるSUVを用いて測定し、記録を行う。また血清チミジンキナーゼ値と4DSTの集積度との比較を行う。平成25年度の対象症例数は30例とする。対象病変は、組織採取による病理学的評価を行い、4DSTとFDGの画像所見との対比を行う。組織学的判定が困難な場合は、臨床経過や他検査所見を含め、総合的に評価を行う。研究に参加患者における臨床経過の調 査。4DSTを撮影した患者に関しては、臨床経過を観察することにより再発の有無、生存期間を調査する。再発までの期間や予後とPETの集積度を比較し、その相関性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は、11C-4DST-PET/CT(4DST), FDG-PET/CT(FDG)の撮影代(30人分)に対し、約30万円を使用する。また血清チミジンキナーゼ値の測定に約3万円を使用する。情報収集のための海外渡航費として約30万を使用する予定である。その他、論文作成費、消耗品購入費を予定している。原材料であるSn-4DSTは、すでに昨年度研究費で購入を行っている。
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