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2013 年度 実施状況報告書

移植後動脈硬化進展におけるムスカリン受容体の役割

研究課題

研究課題/領域番号 24791370
研究機関浜松医科大学

研究代表者

松本 祐直  浜松医科大学, 医学部, 助教 (80397380)

キーワード移植後動脈硬化 / 慢性拒絶 / ムスカリン性ACh受容体 / 炎症細胞
研究概要

移植された臓器において,リンパ球などを介したレシピエントの免疫反応(拒絶反応)によりドナーの血管内皮が傷害されると,様々なサイトカイン・ケモカインが産生される。慢性期においては,平滑筋様細胞が新生内膜(移植後動脈硬化)を形成し,血管閉塞による移植臓器の機能不全をきたすことが臨床での大きな問題となっており,移植患者の予後を制限する。神経伝達物質として広く知られているアセチルコリン (ACh) とムスカリン性ACh受容体(muscarinic acetylcholine receptor,mAChR) は,リンパ球などにも存在し,刺激によるACh産生促進やmAChR発現増強が報告されている。しかしながら,移植後動脈硬化進展におけるmAChRの役割はほとんど知られていない。本研究では,mAChR欠損 (mAChR-KO) マウスを用いて心臓または血管移植モデルを作製し,mAChRの移植後動脈硬化進展への役割を検討する。平成24年度は,マウス異所性心臓移植モデルを作製し,mAChRの移植心生着率への影響を調べた。レシピエントにはmAChR-KOマウス(C57BL/6,H-2b)あるいは野生型マウス(mAChR-WT,C57BL/6,H-2b)を用いた。ドナーにはMHC(major histocompatibility complex)の異なるマウス(BALB/c [H-2d])を用いた。結果,mAChR欠損による心生着率への影響は認められなかった。次いで,ドナーマウスの系統をC3H/He (H-2k)に変更して心生着率への影響を調べたところ,先ほどと同様に野生型との差は認められなかった。以上のことから,MHC完全不一致のドナー・レシピエントを用いた心移植モデルでは,mAChRの影響はないことが示唆された。25年度において、同じドナー・レシピエントの組み合わせを用いて血管移植モデル作製し、移植後動脈硬化進展について調べたところ、mAChR欠損の影響は認められなかった。今後,ドナー・レシピエントの組み合わせを変更し、更なる検討を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

MHC完全不一致のドナー・レシピエントを用いた心移植、あるいは、血管移植モデルでは,ムスカリン受容体の影響はないことが示唆された。今後,ドナー・レシピエントの組み合わせを変更し、更なる検討を進める予定である。

今後の研究の推進方策

mAChRを欠損するマウスを用いて,移植後動脈硬化進展におけるmAChRの役割を検討する。(i) mAChR-KOまたはmAChR-WTマウスをレシピエントとして,心または頚動脈移植モデルを作製し,移植片新生内膜の肥厚面積,新生内膜を構成する細胞成分の経時的変化を比較する。(ii) mAChR-KOまたはmAChR-WTマウスの骨髄(non-GFP細胞)のみをGFP発現マウスに輸注した後,これらをレシピエントとして移植を行い,骨髄由来細胞(non-GFP細胞)の新生内膜形成への関与を比較する。(iii) 移植後に活性化される循環血液中のリンパ球,単球/マクロファージが産生するサイトカインをmAChR-KOとmAChR-WTマウスで比較検討する。

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公開日: 2015-05-28  

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