研究課題
移植医療における研究は、主に免疫担当細胞の反応を理解し制御することにあった。一方、良質な免疫抑制剤を背景に行われるようになったABO不適合移植・ドナーHLA陽性移植における各臓器での成績が異なることから、近年抗原抗体反応が引き起こすグラフト内皮細胞の応答、特にMAPKとPI3K/AKT経路といった細胞内シグナル伝達に注目した研究が世界で行われている。我々はこれまで、腎移植におけるABO不適合移植成績が適合移植と遜色がないことから、Graft Accommodation(ドナー抗体が存在するにもかかわらず傷害を受けない状態)になっていると考え、血管内皮細胞におけるA/B抗原抗体反応が引き起こすシグナル伝達に特に注目し研究を行ってきた。これまでの研究結果からA/B抗体とHLA抗体が引き起こすシグナル伝達は異なっており、特に内皮細胞活性化を引き起こすERKの活性化が、AB抗体接着で抑制されていた。慢性期における拒絶反応の引き金となるHLA-class II抗体が引き起こす細胞な遺伝子変化を見るために、内皮細胞をIFNgammaで48時間処理し、HLA class IIを発現させその影響を見たところ、anti-HLA DR抗体接着による細胞保護効果は存在せず、逆に補体制御因子の発現抑制と、ERKの強い活性化が見られた。さらに、これら抗体関連型拒絶反応を抑制するシグナルとして、細胞内エネルギーセンサーであるAMPKの関与とその活性化剤であるレズベラトロールの関与も明らかにし、将来の治療戦略の一つとして可能性を示した。
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