研究概要 |
昨年度に引き続いて本年度も、健常者の末梢血単核球細胞 (PBMNCs)が低酸素プレコンディショニング (2%酸素濃度、33℃、24時間)により受ける種々の影響について解析した。健常者上腕の皮静脈より採血し、血清分離後に比重遠心法により単離されたPBMNCsを低酸素プレコンディショニングし、細胞接着性、血管新生因子VEGFの産生能、酸化ストレス抵抗性を指標として検討した。その結果、低酸素プレコンディショニング処理群では、対照群に比べて有意な細胞接着能の増大や有意なVEGF産出量の増加が認められた。さらに、低酸素プレコンディショニング処理後に過酸化水素処理を行い、酸化ストレス抵抗性を検討したところ、低酸素プレコンディショニング処理群では、対照群に比べてReactive Oxygen Species (ROS)産出量(細胞内のROSは6-carboxyl-2',7'-dichlorodihydrofluorescence-in diacetate (DCF)プローブを用いて測定)の低下および細胞生存率(annexin V陰性およびpropidium iodide陰性細胞を生細胞として測定)の上昇が認められた。以上の結果より、低酸素プレコンディショニングによりPBMNCsの機能増強が誘導されることが明らかとなった。
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