研究課題/領域番号 |
24791384
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
今井 克憲 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (60555746)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | P-cadherin / CDH3 / 脱メチル化 / 肝内胆管癌 |
研究概要 |
当科において外科的に切除された肝内胆管癌59例に対しP-cadherinの免疫染色を行った。P-cadherinの発現は、腫瘍径(p=0.0006)およびリンパ節転移の有無(p=0.044)と有意に相関していた。P-cadherin高発現群(n=30)と低発現群(n=29)に分けて予後解析を行ったところ、5年無再発生存率は14.3%と44.8%、5年生存率は36.7%と76.1%で、無再発生存、生存ともにP-cadherin高発現群で有意に不良であった(p=0.019およびp=0.0012、log-rank test)。Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析の結果、P-cadherinの高発現は、再発の独立規定因子であった(ハザード比3.67、p=0.008)。 胆管癌細胞株においてRT-PCR、Western blot法によりP-cadherin mRNAおよび蛋白の発現解析を行ったところ、7種中3種で高発現を認めた。P-cadherin高発現株であるHuCCT-1においてsi-RNAを用いてP-cadherinのknockdownを行うと、増殖能は不変であったが、浸潤能、遊走能が有意に低下した。 胆管癌細胞株において、メチル化特異的PCRの手法を用いてP-cadherinのプロモーター領域のメチル化の有無を検討したところ、P-cadherin高発現株ではプロモーター領域の脱メチル化を認める傾向にあった。P-cadherin低発現株であるSSP25に5-AZAを添加すると同部は脱メチル化されたが、それに伴ってP-cadherinの発現上昇を認めた。 以上より、胆管癌においてP-cadherinの発現は浸潤、遊走能の上昇を介して癌の悪性化に寄与しており、その発現にはプロモーター領域の脱メチル化が関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実際の臨床検体を用いてP-cadherinのプロモーター領域のメチル化状態の検証を行っているが、特異的なバンドがなかなか得られない状況である。現在実験プロトコールの検討を行い、条件等の検証を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
胆管癌の凍結標本よりDNAの抽出を行い、P-cadherinのプロモーター領域のメチル化状態をメチル化特異的PCRにて検証し、P-cadherinの発現とプロモーター領域のメチル化の相関を検証する。さらに、癌部のみでなく非癌部におけるP-cadherinの発現とプロモーター領域のメチル化を検討し、非癌部の脱メチル化が臨床病理学的因子に及ぼす影響を検証する。 その他、現在膵癌においても同様に、発現と予後の関連を検討し、細胞株及び臨床検体においてP-cadherin発現とプロモーター領域のメチル化の関連を検証している。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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