研究課題/領域番号 |
24791385
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
中嶋 健太郎 大分大学, 医学部, 医員 (10625255)
|
キーワード | 乳癌 / 脱毛 / 腫瘍学 |
研究概要 |
[背景]われわれはこれまでに、抗酸化剤であるDHLHisZn-NaとESeroS-GS(新規ビタミンE誘導体)が、抗がん剤誘発脱毛予防効果、抗腫瘍効果を有することを示した。昨年度に引き続き、新規ビタミンE誘導体の抗がん作用メカニズム解明の為の基礎実験を行った。 [目的]ビタミンE誘導体(ETS-GS)のヒト胃癌細胞における増殖抑制への影響およびそのメカニズムの解明 [材料]ビタミンE誘導体(ETS-GS)、胃癌細胞:MKN45P、CD1Foxn1ヌードマウス [方法]①細胞増殖抑制 ②Caspase3/7 ③3-メチルアデニン ④電子顕微鏡 [結果]①in vitro 細胞増殖抑制効果→ETS-GSは胃癌細胞株MKN45Pに対し、濃度依存性に増殖抑制効果を示した。正常細胞である線維芽細胞では明らかな増殖抑制効果を認めなかった。②胃癌細胞株MKN45PにETS-GSを添加した場合のCaspase3/7値は、コントロールと比較し、有意に低値だった ③3-メチルアデニンを添加した場合、いずれの濃度でも「ETS-GSによるMKN45Pの増殖抑制」が抑制されていた。④電子顕微鏡にて、オートファジーの所見を認めた。→②~④によりオートファジーの関与が示唆された。 [結論]ETS-GSはヒト胃癌細胞に対し増殖抑制効果を示した。その機序として、オートファジーによる非アポトーシス細胞死の関与が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「脱毛予防効果メカニズムの解明」より先に、当該抗酸化剤が有する抗腫瘍効果のメカニズム解明を優先させている。少なくとも抗酸化剤である本治療薬が、本来の主目的である抗がん剤の抗腫瘍効果を減弱させないこと、むしろ促進させることを基礎研究にて明らかにした。まもなく開始する臨床試験(抗がん剤誘発脱毛防止剤開発試験)と平行して、脱毛予防効果メカニズムの解明を行う。
|
今後の研究の推進方策 |
脱毛予防効果メカニズム解明―DHLHisZn-Naが毛根の幹細胞に与える影響を検討する。 脱毛予防効果メカニズムの解明: C57 BL/6 mice にdepilationを行い、growing (= anagen) hair follicles状態とする。抗がん剤を塗布し皮膚を顕微鏡で観察する。抗がん剤投与後の毛根細胞のトランスクリプトーム解析とパスウェイ解析によるシグナル伝達解析。抗がん剤投与前後のラット皮膚組織からlazer-captured microdissection(LCM)を用いて毛根細胞を切り取り、total RNAを抽出する。total RNAを用いてAgilent社のマイクロアレイで解析する。
|