研究課題/領域番号 |
24791390
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
勝田 将裕 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (50464673)
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キーワード | アジュバント / がんワクチン / 食道癌 |
研究概要 |
癌患者に対するワクチン療法はこれまで多くのアプローチが試みられてきたが、未だ臨床的有効性を示す明確なEvidenceは得られていない。現状を打破するためには強い免疫厳正を有した抗原遺伝子の選定とともに、癌患者の生体内における抗腫瘍免疫応答を増強して、癌細胞周囲のmicroenvironmentにおける抗腫瘍免疫エスケープメカニズムを打破する強力なadjuvantの選択が重要である。 我々は、新規ワクチンアジュバントの開発を行っており、RIG-I/TLR-8を共刺激するHVJ-Eを含め、がんペプチドワクチンアジュバントとしての有用性を明らかにするべく、研究を行っている。HVJ-EはTLR-8の活性化を介したIFNの産生に加え、RIG-Iを介した炎症性のサイトカインを産生するが、これまでに腫瘍の局所環境においてはむしろ抗腫瘍免疫にnegativeな側面も示唆されている。一方、CpGおよび我々が現在開発中の改編型CpGは強力なIFN産生を介して腫瘍局所の免疫状態改善を介した強い抗腫瘍免疫応答を誘導している。特にこの新規アジュバントは腫瘍に対するDDS効果も示唆されており有望性が期待されるため、解析を進めていく方針である。 今年度は、アジュバント薬の腫瘍内投与の臨床試験を始め、HVJ-Eを含め食道癌に対するがんワクチン療法の適切な新規アジュバントをヒトに応用するべく開発を継続推進していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は既にHVJ-Eなどワクチンアジュバントとして有望なsubjectについて、その自然免疫活性化を検討し、それぞれのアジュバントとの比較研究も施行している。さらに、当初の計画通りURLC10特異的CTLをヒト末梢血から樹立することも成功しており、アジュバント添加によるメカニズムの解析を開始する段階にある。また、当初の計画にはなかったが、マウスを用いて腫瘍局所におけるアジュバントの機能解析も開始しており、これにより腫瘍局所におけるアジュバントの作用メカニズムも明らかになると期待される。したがって、本研究はおおむね当初の計画通りに進展しており、当初計画ののHVJ-Eの解析にとどまらず有用な新規アジュバントの開発研究に発展している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、当初計画通り樹立したURLC10特異的CTL誘導にアジュバント添加し、アジュバントのメカニズム解析を行う。アジュバントはHVJ-Eのみに固執せず、計画のコンセプトである食道癌に対するがんワクチン療法の適切な新規アジュバント開発を推進する。新規アジュバントとして、開発の途中でその有用性が明らかとなってきた改編型CpGは非常に有用であると考えられ、合わせて研究を進める。特に、ヒトに応用するべくアジュバントの腫瘍内投与による効果の基礎的解析も展開し、アジュバント開発を継続推進していく予定である。
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