食道癌に対する新規アジュバントＨＶＪ－Ｅ併用癌ワクチン療法の開発

2014 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 24791390
• 研究機関: 和歌山県立医科大学
• 研究代表者: 勝田 将裕 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (50464673)
• 研究期間 (年度): 2012-04-01 – 2015-03-31
• キーワード: アジュバント / がんワクチン / 食道癌

研究実績の概要

がん患者に対するワクチン療法はこれまで多くのアプローチが試みられてきたが、未だ臨床的有効性を示せていない。現状を打破するためには強い免疫原性を有した抗原遺伝子の選定とともに、癌患者の生体内における抗腫瘍免疫応答を誘導し、癌細胞周囲のmicroenvironmentにおける抗腫瘍免疫エスケープメカニズムを打破する強力なadjuvantの選定が重要である。我々は新規ワクチンアジュバントの開発を行っており、RIG-I/TLR8を共刺激するHVJ-Eを含め、ワクチンやアジュバントのDDSを効率化することによるがんペプチドワクチンの効果を増強する戦略について研究を行っている。HVJ-EはTLR-8の活性化を介したIFNの産生に加え、RIG-Iを介した炎症性のサイトカインを産生するが、これまでに腫瘍の局所環境においてはこの炎症性サイトカインによりむしろ抗腫瘍免疫にnegativeな側面も示唆された。一方、現在開発中の改編型TLRagonistは腫瘍局所へのDDSを介した局所免疫環境の変化により強力な抗腫瘍免疫応答を誘導しワクチンアジュバントとしての有用性も示唆された。さらに、ペプチドワクチン自体をAPCにDDSするアジュバントシステムの構築も行っており、現在特許申請準備中である。

研究成果

• [雑誌論文] 膵臓癌に対するペプチドワクチンの現状と展望 (2015)
  • 著者名/発表者名: 勝田将裕、山上裕機
  • 雑誌名: 日本臨床 巻: 73 ページ: 433-437
• [雑誌論文] Identification of an HLA-A2-restricted epitope peptide derived from hypoxia-inducible protein 2 (HIG2). (2014)
  • 著者名/発表者名: Yoshimura S, Tsunoda T, Osawa R, Harada M, Watanabe T, Hikichi T, Katsuda M, Miyazawa M, Tani M, Iwahashi M, Takeda K, Katagiri T, Nakamura Y, Yamaue H.
  • 雑誌名: PloS one 巻: 9 ページ: e85267
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0085267
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Antitumor immune response of dendritic cells (DCs) expressing tumor-associated antigens derived from induced pluripotent stem cells: in comparison to bone marrow-derived DCs. (2014)
  • 著者名/発表者名: Iwamoto H, Ojima T, Hayata K, Katsuda M, Miyazawa M, Iida T, Nakamura M, Nakamori M, Iwahashi M, Yamaue H.
  • 雑誌名: International journal of cancer 巻: 134 ページ: 332-341
  • DOI: 10.1002/ijc.28367.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Prognostic significance of IL-17 mRNA expression in peritoneal lavage in gastric cancer patients who underwent curative resection. (2014)
  • 著者名/発表者名: Iida T, Iwahashi M, Katsuda M, Ishida K, Nakamori M, Nakamura M, Naka T, Ojima T, Ueda K, Hayata K, Yasuoka H, Yamaue H.
  • 雑誌名: Oncology reports 巻: 31 ページ: 605-612
  • DOI: 10.3892/or.2013.2911.
  • オープンアクセス
• [学会発表] 標準療法不応食道癌に対するHLA-A24またはHLA-A02拘束性カクテルペプチドワクチン療法 第I/II相臨床試験 (2014)
  • 著者名/発表者名: 勝田将裕、宮澤基樹、北畑裕司、水本有紀、中森幹人、中村公紀、尾島敏康、早田啓治、松村修一、北谷純也、山上裕機
  • 学会等名: 第27回日本バイオセラピィ学会学術集会総会
  • 発表場所: 大阪市
  • 年月日: 2014-12-04 – 2014-12-04
• [学会発表] 標準療法不応食道癌に対するHLA-A24またはHLA-A02拘束性マルチペプチドワクチン療法 (2014)
  • 著者名/発表者名: 勝田将裕、宮澤基樹、中森幹人、中村公紀、尾島敏康、早田啓治、松村修一、北畑裕司、水本有紀、山上裕機
  • 学会等名: 第52回日本癌治療学会学術集会
  • 発表場所: 横浜市
  • 年月日: 2014-08-28 – 2014-08-28
• [学会発表] 消化器癌に対するがんペプチドワクチン療法開発の課題と展望 (2014)
  • 著者名/発表者名: 勝田将裕、宮澤基樹、谷 眞至、中森幹人、中村公紀、川井 学、尾島敏康、北畑裕司、岩橋 誠、山上裕機
  • 学会等名: 第69回日本消化器外科学会総会
  • 発表場所: 郡山市
  • 年月日: 2014-07-18 – 2014-07-18
• [図書] 分子細胞治療フロンティア2015Chapter4-1がんペプチドワクチン療法開発の現状と展望 (2015)
  • 著者名/発表者名: 勝田将裕、山上裕機
  • 総ページ数: 7
  • 出版者: パピルス