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2012 年度 実施状況報告書

胃癌腹膜播種の微小環境における上皮間葉転換の解明と治療標的の意義

研究課題

研究課題/領域番号 24791402
研究機関金沢大学

研究代表者

木下 淳  金沢大学, 医学系, 協力研究員 (90584855)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードEMT / HPMC / PSK
研究概要

近年、悪性腫瘍の浸潤、転移、線維化にEMTが重要な役割をはたしている事が明らかになった。これまで癌細胞側のEMTに関する報告は多いが、転移側のホスト細胞のEMT誘導に注目した報告はまれである。このホスト細胞のEMT誘導も転移成立における重要な要素であり、さらには癌間質の線維化にも深く関与する事が推察される。研究初年度である平成24年度は、胃癌細胞と腹膜転移のホスト細胞である腹膜中皮細胞(HPMC)を用い、細胞間相互作用によるEMT誘導を検証し、さらに代表的なBRM製剤のひとつであるPSKによる抗TGF-β作用に着目しEMT誘導の抑制効果の有無を in vitroにおいて以下の項目に関し研究を行った。
【研究①】TGF-β処理による胃癌細胞とHPMCのEMT誘導とPSKのTGF-β/Smad経路に対する阻害作用に関する研究
HPMCにTGF-β10 ng/mlを投与した結果、紡錘様の形態変化を呈し、E-cadの発現低下,α-SMA の発現亢進などのEMT様変化を呈した。これにPSK 100~500μg/mlを添加すると用量依存性に紡錘形への形態変化から敷石状となり、上記EMT markerの発現変化は抑制された。
【研究②】胃癌細胞株とHPMCの共培養によるEMTの誘導と、PSKによる抑制効果に関する研究
HPMCをMKN-45と共培養した結果、E-cadなどの上皮系マーカーの発現減弱、α-SMAなどの間葉系マーカーの発現亢進を認め、細胞間相互作用によるEMT誘導が確認された。また、共培養によるHPMCのEMT markerの発現変化はPSK500μg/mlの添加により抑制される事が証明された。PSKはsmad2 のリン酸化を阻害することで-βのシグナル伝達系をブロックし、EMT誘導を抑制する可能性が示唆され、現在検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度は【研究①】TGF-β処理による胃癌細胞とHPMCのEMT誘導とPSKのTGF-β/Smad経路に対する阻害作用に関する研究、【研究②】胃癌細胞株とHPMCの共培養によるEMTの誘導と、PSKによる抑制効果に関する研究、に関して検討を行った。
実験成果は先述の如くであり、MKN-45とHPMCの共培養の結果誘導されたEMTにおけるTGF-β/Smad経路に対してPSKが与える影響に関して、現在検討中である。
当初、初年度に予定していた【研究3】TGF-β添加によるHPMC、胃癌細胞の浸潤能の亢進にPSKが与える影響、に関しても現在検討中であるが、実験系が確立し、手技が安定したため次年度において検証可能であると考えている。

今後の研究の推進方策

平成24年度は昨年度の研究成果を学会発表する。同時にin vitroで得られたデータをもとに胃癌細胞とHPMCを同時移植させたマウス線維化皮下腫瘍モデルを用い、in vivoにおいてPSKのEMT抑制効果を検証すると共に、癌間質の抗線維化作用の有無を評価する。
また、胃癌細胞におけるEMT誘導と抗癌剤耐性獲得の関連性に関して検討し、PSKによって耐性解除が誘導されるかを研究し、それらの成果を、国内外の学会や論文で発表予定である。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費使用については当初の計画から変更はない。

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公開日: 2014-07-24  

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