ヒト肝癌細胞株(HuH7)にインターフェロンレセプターを遺伝子導入し、Fucciシステムを用いて細胞周期が可視化できる細胞にインターフェロン(IFN-α)もしくは5-FUを投与することで、IFN-αがインターフェロンレセプター依存的にG0/G1期での細胞死を、5-FUはインターフェロンレセプター非依存的にS/G2/M期での細胞死を誘導することを前年度中に示した。 がん幹細胞はG0期に存在すると考えられるため、IFN-αの細胞周期上での作用点を解析するためにAphidicolinを用いて、細胞周期をそれぞれ早期S期もしくは、G0/G1に同調させた後にIFN-αを投与しtime-lapse imagingを行い、細胞周期の変化と細胞死の関連を解析した。この結果、細胞死の発生頻度はS/G2/M期で細胞死を迎えた群(8.3±4.7%)、S/G2/M期よりG0/G1期に移行した後に細胞死を迎えた群(57.1±25.6%)、再度S/G2/M期に突入後細胞死を迎えた群(4.5±2.2%)で、G0/G1期へのIFN-α投与群では、G0/G1期で細胞死を迎えた群(10.0±3.7%)、G0/G1期よりS/G2/M期に移行した後に細胞死を迎えた群(6.0±4.5%)、再度G0/G1期に突入後細胞死を迎えた群(29.4±4.8%)であり、いずれの細胞周期にIFN-αを投与してもS/G2/M期を経た後のG0/G1期で細胞死を迎える頻度が最も高くIFN-αはS/G2/M期に作用点を持つことが観察された。
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