研究概要 |
1.臨床サンプルを用いた抗癌剤耐性・感受性に関与するmicroRNAの同定 食道癌化学療法症例の奏功例(good PR~CR)5例と、非奏功例(PD~SD)5例の血液サンプルよりmirVana PARIS kitを用いてTotalRNAの抽出を行った。ついで、血中RNAのQuality checkを Agilent 2100バイオアナライザを用いて血中RNAのQuality checkを行った。その上で、TORAY 3D-Gene microRNA チップによるmicroRNA arrayを行った。その結果、奏功例、非奏功例において、1.75倍以上の発現差を認める血中microRNAを合計22種類同定できた。食道癌化学療法前の患者の血液サンプル70サンプルを用いてmicroRNA arrayのvalidationを行ったところ、これら22種のmicroRNAのうち、3種のmicroRNAにおいて、抗癌剤感受性と相関を認めた。 2.選定したmiRNAに関して、細胞株での導入/抑制実験 3種のmicroRNAのうち、2種は非奏功例で高発現を認めたmicroRNAに着目して基礎研究を行った。食道癌細胞株 TE4,TE8,TE10を用いて、細胞株での発現を確認すると、TE4,TE8ではTE10にくらべ高発現であった。そこで、TE4,TE8におけるanti-miRのtransfectionを行い、CDDPに対する治療効果をMTT assay, apoptosis assay(Annexin VΠ Biovision)を行ったところMTT assayにおいては、CDDPの効果との関連性を認めなかったが、apoptosis assayにおいては、TE4でアポトーシスが増強しており、今回着目したmicroRNAがアポトーシス抑制に関与している可能性が示唆された。 。
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