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2014 年度 実績報告書

可溶性IL-33受容体の大腸がん転移抑制効果と予後予測因子としての有用性の検討

研究課題

研究課題/領域番号 24791422
研究機関島根大学

研究代表者

秋元 美穂  島根大学, 医学部, 助教 (60437556)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード転移抑制 / がん微小環境
研究実績の概要

研究期間全体を通して、分泌型のIL-33 受容体(sST2)が転移を抑制すること、リコンビナントsST2が転移抑制効果を示すこと、ST2が大腸がんの予後予測因子として有用であることを明らかにした。
マウスおよびヒトの大腸がん細胞から作製したsST2高発現または低発現の細胞をマウスに移植した結果、sST2高発現の腫瘍では血管新生および自然転移が抑制されたことから、sST2が生体内で転移抑制に働くことが示された。sST2-Fc融合タンパク質の生体内強制発現あるいはリコンビナントsST2を注入した徐放性ポンプの皮下挿入により血中のsST2を高濃度で維持することでも転移抑制効果が認められ、転移抑制剤としてのリコンビナントsST2の有用性が示された。また大腸がんの組織標本で、原発巣でのST2の発現レベルは同一患者の肝転移巣に比べて有意に高く、ST2は転移予測の指標となることが示唆された。
最終年度にかけて、sST2が炎症性のがん微小環境に及ぼす影響を検討した。sST2高発現の腫瘍組織ではマクロファージの浸潤が抑制されていた。マウスマクロファージRAW264.7細胞を用いた浸潤アッセイにより、sST2はIL-33誘導性の浸潤能亢進を阻害することを明らかにした。またPCRアレイ解析により、腫瘍組織中のTh2サイトカインの発現レベルはがん細胞のsST2発現レベルと逆相関することを見出した。さらに、Th2応答の低下に伴い、sST2高発現の腫瘍組織ではM2マクロファージの割合が減少することを示した。
これまでにsST2とがんとの関係を示す報告は殆ど無く、sST2が転移を抑制することが本研究により初めて明らかになった。またリコンビナントsST2の転移抑制効果、大腸がんの予後予測因子としてのsST2の有用性が示されたことから、今後はsST2を基盤とした治療法や診断法への応用展開が期待される。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Anticancer Effect of Ginger Extract Against Pancreatic Cancer Cells Mainly Through Reactive Oxygen Species-Mediated Autotic Cell Death2015

    • 著者名/発表者名
      Miho Akimoto, Mari Iizuka, Rie Kanematsu, Masato Yoshida, Keizo Takenaga
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 未定 ページ: 未定

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 可溶性ST2は炎症性のがん微小環境を修飾し膵がんの増殖を抑制する2014

    • 著者名/発表者名
      秋元 美穂、竹永 啓三
    • 学会等名
      第12回 がんとハイポキシア研究会
    • 発表場所
      ホテルマリターレ創世(佐賀)
    • 年月日
      2014-11-21 – 2014-11-22
  • [学会発表] HIF-2αの阻害はヒト膵がん細胞のTRAIL感受性を増強する2014

    • 著者名/発表者名
      原嶋 奈々江、秋元 美穂、竹永 啓三、原田 守
    • 学会等名
      第12回 がんとハイポキシア研究会
    • 発表場所
      ホテルマリターレ創世(佐賀)
    • 年月日
      2014-11-21 – 2014-11-22
  • [学会発表] Soluble ST2 modulates inflammatory tumor microenvironment and inhibits neoan giogenesis and growth of pancreatic cancer2014

    • 著者名/発表者名
      Miho Akimoto, Mamoru Harada, Keizo Takenaga
    • 学会等名
      第73回 日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜)
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] Enhancement of glycolysis and survival of lung carcinoma cells with mtDNA mutation co-cultured with stromal cells2014

    • 著者名/発表者名
      Keizo Takenaga, Miho Akimoto
    • 学会等名
      第73回 日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜)
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] Inhibition of HIF-2α sensitizes human pancreatic cancer cells to TRAIL2014

    • 著者名/発表者名
      Nanae Harashima, Yoko Hari, Hiroyuki Monma, Miho Akimoto, Keizo Takenaga, Yoshitsugu Tajima, Mamoru Harada
    • 学会等名
      第73回 日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜)
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] 膵臓がん細胞に対する生姜抽出物の抗腫瘍効果2014

    • 著者名/発表者名
      兼松里衣、秋元美穂、竹永敬三
    • 学会等名
      日本生薬学会 第61回年会
    • 発表場所
      福岡大学(福岡)
    • 年月日
      2014-09-13 – 2014-09-14

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公開日: 2016-06-01  

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