研究課題
固形癌に対する除鉄誘導療法の開発を行った。まずin vivoで除鉄食を準備し、3週間ヌードマウスに投与し除鉄モデルマウスを作成し皮下腫瘍(A549)を作成した。除鉄を行うとマウスの皮下腫瘍は有意に増殖が抑制された。腫瘍を回収し解析すると、増殖は抑制されていたが逆に低酸素で血管新生が増強されていることが判明した。in vitroでは肺癌細胞株(A549, H1299)を準備し、除鉄として鉄キレート剤(Deferasirox)を用いた。肺癌細胞株に対して除鉄剤を用いると細胞増殖が抑制され、代償的に培養液中のHIF-1αの発現増強を介したVEGFの濃度上昇が認められた。このことから除鉄を行うと癌細胞の増殖が抑制される代わりに代償的な血管新生が生じていることが突き止められた。この仕組みを逆に利用し、除鉄で誘導を行い、血管新生阻害薬を投与するとその効果を高められると仮説を立て、in vivo(A549皮下腫瘍モデル)で除鉄食による除鉄誘導を行ったうえに血管新生阻害薬(Bevacizumab)を併用すると強い抗腫瘍効果得られることを証明し、論文化した。また臨床での除鉄誘導療法の実証のために、肝臓癌での臨床研究に向けた予備実験等の準備を行った。
すべて 2013
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International journal of cancer
巻: 132 ページ: 2705-2713
10.1002/ijc.27943.