研究課題/領域番号 |
24791426
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
森 大樹 徳島大学, 大学病院, 助教 (70448330)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 大量肝切除 / 肝再生 / 小胞体ストレス応答 |
研究概要 |
【研究の目的】大量肝切除後あるいは生体肝移植後の肝不全は重要な問題であり、その克服は重要な課題である。近年、脳または心筋においては虚血再灌流傷害における小胞体ストレスの関与は報告されているが、大量肝切除術後あるいは生体肝移植術後における虚血再灌流傷害時の小胞体ストレス応答の関与に関しての検討はない。本研究では大量肝切除術後あるいは生体肝移植術後における虚血再灌流傷害時の小胞体ストレスの関与を明らかにすることを目的とする。 【研究実施計画】平成24年度:肝切除術後肝再生・大量肝切除術後肝不全に対する小胞体ストレス応答の関与について検討する。 【研究実績】1.大量肝切除術後肝不全に対する小胞体ストレス応答の関与の確認:正常ラットに90%大量肝切除を行い肝再生における小胞体ストレス応答の経時的変化の程度による違いについて検討したところ、肝切除前後の肝内の小胞体ストレス応答マーカー発現については、ATF6 mRNAは術後1日目から約2倍まで上昇を始め、一旦3日目に1.3倍まで減少したが、その後7日、14日、21日目と経時的に最大約4倍まで再上昇を認めた。Xbp1 mRNAは術後1日目から約2.5倍まで上昇し、一旦3日目に1.7倍まで減少したが、その後7日、14日、21日目と多少の増減を繰り返しながら経時的に最大約7.5倍まで上昇を認めた。CHOP mRNAは術後3日目から上昇を始め、その後経時的に上昇を続け、14日目でプラトーに達し、最大約5.5倍までの上昇を認めた。HSP70 mRNAは術後1日目から約2.3倍まで上昇を始め、一旦3日目に1.6倍まで減少したが、その後再上昇を認め、7日目でプラトーに達し、最大約3.6倍まで上昇を認めた。GRP78 mRNAは術後1日目から約2.6倍まで上昇を始め、14日目で約6倍とピークに達し、21日目では約4.7倍と減少を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究実施計画では、肝切除術後肝再生・大量肝切除術後肝不全に対する小胞体ストレス応答の関与について検討することであり、大量肝切除術後肝不全モデルにおいてのそれらの検討は順調に進んでおり、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1. 肝切除術後肝再生に対する小胞体ストレス応答の関与の確認:正常ラットに70%大量肝切除を行い肝再生における小胞体ストレス応答の役割とともに再生の経時的変化の程度による違いについて検討する予定である。 2. small for size graft syndromeに対する小胞体ストレス応答の関与の確認:同種正常ラットに30%生体肝移植を行いsmall for size graft syndromeにおける小胞体ストレス応答の役割とともに再生の経時的変化の程度による違いについて検討する予定である。 3. ノックアウトマウスを用いた小胞体ストレス応答の各主要調節器の関与の確認:3種類の小胞体ストレス応答の各主要調節器官ノックアウトマウスを用い、70%大量肝切除術後肝再生モデル、90%大量肝切除術後肝不全モデル、30%生体肝移植術後small for size graft syndromeモデルそれぞれで、小胞体ストレス応答の各径路の役割とともに再生の経時的変化の程度による違いについて検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度への繰越額は物品購入に使用する予定である
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