研究概要 |
これまで我々は、肝再生におけるオートファジーの重要な生物学的意義(細胞内エネルギー維持、細胞内蛋白質のリモデリング)を解読してきたほか、オートファジー不能状態に陥ることで細胞老化が進行することを解明してきた。 つまり、肝特異的オートファジーノックアウトマウス(Atg5遺伝子)において、肝切除後の肝再生は有意に遅延し、肝細胞内のミトコンドリア機能障害に起因するβ酸化及びATP産生の低下を認めた。これらは、p21発現の亢進による細胞老化が進行した結果であることが解明された。つまり、オートファジーをノックアウトした肝細胞においては、エネルギー不足に起因する核の増殖遅延だけでなく、p21の発現亢進、SA-βgalの高発現、p21蛋白及びポリユビキチン化した蛋白質が蓄積していることから、細胞内蛋白質のリモデリングが不能に陥っていることが確認された。臨床的には、オートファジーを肝再生時に亢進させることで肝硬変症例に対する肝切除治療の断念やドナー肝不足のレシピエントに対する肝移植断念といった問諸題の改善が期待されることが伺われた。 上記内容にて、米国肝臓学会雑誌Hepatologyに採択された(Toshima T, Shirabe K, Fukuhara T, Ikegami T, Yoshizumi T, Soejima Y, Ikeda T, Okano S, and Maehara Y. Suppression of Autophagy During Liver Regeneration Impairs Energy Charge and Hepatocyte Senescence in Mice. Hepatology. 2014 Mar 25.)。
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