研究概要 |
まず、各種ヒト食道癌細胞株におけるXB130、xCTの蛋白発現レベルを確認した。ウェスタンブロット法により、TE2,TR5,TE9,TE13,KYSE170において両者の発現を確認した。TE13,KYSE170において、xCT-siRNAの導入によりXB130の蛋白・mRNA発現レベルが抑制された。また、TE2,TE9,TE13,KYSE170において、XB130-siRNAの導入によりxCTのmRNA発現レベルが増強され、両者の分子間相互作用の存在が強く示唆された。さらに、TE9,KYSE170にxCTの発現ベクターを導入し、その発現増強効果を確認するとともに、細胞周期・細胞増殖への影響を解析した。現在、両者の直接的結合の有無を確認するため、xCT発現ベクターを導入したTE9,KYSE170細胞株において、Halo tag Resinを用いた共免疫沈降を施行中である。また、shRNA導入により恒常xCT非発現TE13,KYSE170細胞株を樹立中である。一方、食道癌細胞株におけるxCTの細胞増殖制御機構解析を進め、xCT-siRNA導入TE13細胞株のマイクロアレイ解析により、G1-S期関連遺伝子の発現が制御されることを解明した。さらに、食道癌切除検体の免疫組織染色により、xCT発現とKi67・CyclinD1・p21発現の相関解析を行うとともに、xCT高発現が独立した予後因子となることを明らかにした。これらの研究成果は英文雑誌に投稿済みである。同時に、食道癌におけるXB130の細胞周期制御機構と臨床病理学的意義の解明(Ann Surg Oncol. 2012)を行うとともに、他の癌細胞株を用いたXB130に関する基礎実験を行い、Aktを介するシグナル制御機構(PLoS One. 2012)、microRNA発現制御機構(PLoS One. 2013)を新たに解明した。
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