研究課題/領域番号 |
24791441
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
小松 周平 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40578978)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 分子生物学 / 癌遺伝子 / 分子標的 |
研究概要 |
食道癌は、極めて悪性度の高い難治性の癌であり、手術、化学放射線療法、抗癌剤治療等の集学的な治療が望まれる。申請者らは、43種類の食道扁平上皮癌細胞株に対してアジレント244KオリゴアレイCGH解析を行い、既知の増幅領域の再評価により新しい癌関連遺伝子SMYD2を同定した(Komatsu S. et al. Carcinogenesis 2009)。また微細なホモ欠失から新しい癌抑制遺伝子候補PCDH17を同定した(Haruki S, Komatsu S et al. Carcinogenesis 2010)。今回、1q増幅領域に坐位し、食道扁平上皮癌で高発現しかつ細胞増殖に関わる新規の癌関連遺伝子としてさらにTMEM206, DTL同定した。これまでの機能解析結果に基づき、詳細な分子機構の解明と他癌種を含めた予後予測分子、治療感受性予測分子、標的治療分子としての開発・臨床応用を目指す。 国立がん研究センター津田 均博士のもと、食道癌臨床検体を用いた蛋白発現解析による予後、悪性度に対する評価を行った。TMEM206遺伝子に関しては、高発現症例で中・低分化型、静脈浸潤、再発の頻度が有意に高く、全生存期間、無再発生存期間ともに有意に短く、予後不良であった。多変量解析でも独立した予後因子であった。分子機構について解明すべく、複数のsiRNAを用いたノックダウン実験による解析を進めている。また、過去に開始した研究内容と本研究課題とともに発展させた癌関連遺伝子(TRIM44、YWHAZ)論文他の5報を報告し、国内の学会にも報告した。今年の研究成果を更に発展させ、実地診療に還元すべく臨床応用を目指して今後研究を継続する予定である。また、当研究成果は国内外学会、欧文誌に積極的に報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回、食道癌の増幅領域に坐位する候補遺伝子に対して①食道癌臨床検体を用いた蛋白発現解析による予後、悪性度に対する評価、②発癌、悪性度に関する分子機構の更なる解明(下流分子、標的分子の同定)、③化学療法、化学放射線療法の感受性予測や耐性作用の解明、④遺伝子発現の診断マーカーとしての応用、⑤血中遊離DNAの遺伝子コピー数の定量による血液・体腔液診断、早期診断への応用、⑥他臓器癌における発現亢進による腫瘍の増殖・悪性度への関与の評価、を研究計画として研究を進めた。 今回、先ず、臨床応用に不可欠である臨床検体での蛋白発現の意義について検証した(①)。国立がん研究センター津田 均博士のもと、食道癌臨床検体を用いた蛋白発現解析による予後、悪性度に対する評価を行った。TMEM206遺伝子に関しては、高発現症例で中・低分化型、静脈浸潤、再発の頻度が有意に高く、全生存期間、無再発生存期間ともに有意に短く、予後不良であった。多変量解析でも独立した予後因子であった。現在、分子機構について解明すべく、複数のsiRNAを用いたノックダウン実験による解析実験を進めている。また、残りの研究計画を逐次進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
食道癌の増幅領域に坐位する候補遺伝子に対して、上記に①から⑥に示した研究計画のうち、終了した①を除いて研究を進める予定である。具体的には、②発癌、悪性度に関する分子機構の更なる解明(下流分子、標的分子の同定)、③化学療法、化学放射線療法の感受性予測や耐性作用の解明、④遺伝子発現の診断マーカーとしての応用、⑤血中遊離DNAの遺伝子コピー数の定量による血液・体腔液診断、早期診断への応用、⑥他臓器癌における発現亢進による腫瘍の増殖・悪性度への関与の評価、を続けて進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、上記の研究計画のうち、②について発癌、悪性度に関する分子機構(下流分子、標的分子の同定)について解明すべく、複数のsiRNA、複数の高発現細胞株を用いたノックダウン実験による解析を進める予定である。
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