研究概要 |
多くの悪性腫瘍の中でも予後が極めて不良である膵癌を対象疾患として, High Mobility Group Box 1 Protein (HMGB1:核内蛋白であり, 侵襲存在下では細胞外に放出 され, DIC の発症に大きな役割を果たす. 一方で, 癌の発育,転移や局所の癌 免疫に関与する) の発現および局所免疫機構への影響とそのメカニズムを解明することが本研究の目的である. 開始年度より,本研究において最も重要な実際の臨床検体(膵癌の切除標本)におけるHMGB-1 の免疫染色を安定して施行することに難渋しており,本年度においても.実験条件の変更(染色に用いる一次, 二次抗体の変更, さらには, 染色条件の変更) を繰り返して行うも困難であった.また, ヒト膵癌細胞株 ( PANC-1, MIAPaCa-2 ) におけるHMGB-1 発現の有無の検討においても, RT-PCR, Western blot の手法を用いて, 開始したものの発現の多寡に大きなばらつきが生じており, 発現の有無を評価するに至っていない. そのため, 膵癌細胞株を用い行うsiRNA の手法を用いたHMGB-1 knock down による研究,及び免疫不全マウス(SCID マウス等)に皮下移植 するin vivoの検討などは施行不能であり,さらには,真の目的である膵癌におけるHMGB-1による癌局所免疫の回避機構の解明とその制御の検討も行えていない. しかしながら, 現在も継続して癌標本, 膵癌細胞株において, 実験は継続しており,HMGB-1の発現が安定して可能となった際には, 速やかに,次実験に移行可能な状況を準備している.
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