研究概要 |
我々は前年度の研究において癌遺伝子であるAktを抑制するPTEN(Phosphatase and Tensin Homolog Deleted from Chromosome 10)を標的としうるmiR-141、miR-200の発現が食道扁平上皮癌細胞株において有意に高値であることを明らかにした。本課題の当該年度における到達目標は、食道扁平上皮癌細胞株上でmiR-200を過剰、抑制することでPTENの発現に影響を及ぼすことを明らかにすることであった。しかしながら、miR-200を過剰、抑制してもPTENの変動は有意なものではなかったため、再度ターゲット遺伝子を検索することにした。アレイ解析の結果、細胞のアポトーシスを促すPI3K-Akt-mTOR経路を阻害するDNA damage-inducible transcript 4 protein(DDT4)、PPP2R3B protein phosphatase 2, regulatory subunit B'', beta(PPP2R3B)、PH Domain Leucine-Rich Repeat-Containing Protein Phosphatase 2(PHLPP2)の発現が食道扁平上皮癌細胞株上で有意に低下しており、前述のmiR-200はDDT4とPHLPP2を予測ターゲットとしていることが分かっている。 既にmiR-200の過剰発現、抑制実験に使用するためのベクターの条件検討、準備実験は終了しており、今度はPI3K-Akt-mTOR経路に関わる上記遺伝子とmiR-200との関係に焦点を当てて解析を進めていく。
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