研究課題/領域番号 |
24791450
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
進士 誠一 日本医科大学, 医学部, 助教 (80409193)
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キーワード | 消化管神経内分泌癌 / がん幹細胞 / 細胞外基質 / lumican |
研究概要 |
消化管神経内分泌癌は高悪性度で予後不良の疾患である.近年,がん幹細胞(CSC)はニッチ依存的に幹細胞性を維持し,腫瘍の増殖・転移のみならず,薬剤・放射線耐性能にも関与すると報告された.一方で,細胞外基質の構成因子であるlumicanはsmall leucine rich proteoglycan family(SLRP)に属し,腫瘍の増殖・遊走・接着に抑制的に働き分化に関与する.本研究では神経内分泌癌におけるlumicanの発現と役割について検討した. 平成24年度は,大腸の神経内分泌癌,神経内分泌分化を伴う腺癌,カルチノイドの病理組織切片を用い,腫瘍細胞におけるCSCマーカーの発現を検討し,神経内分泌癌においてCD24の発現が高い傾向を確認した.LumicanはNECの細胞質,および腫瘍間質に発現を認めた. 平成25年度は,上行結腸神経内分泌癌由来の培養細胞株NENMS-1を用いた検討を開始した.CSCの性質を検討する方法の一つであるスフェア形成法を行ったところ,NENMS-1のスフェアではSrc,CD133といった幹細胞マーカーとともに,lumicanの発現が高値を示した.また,NENMS-1にlumican発現ベクターを遺伝子導入し,lumican過剰発現細胞を作成したところ,lumican過剰発現NENMS-1では細胞増殖の抑制,スフェア形成能の抑制,細胞遊走の抑制が見られた. 以上より,lumicanは,消化管NECのCSCマーカーとなる可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経内分泌癌由来の培養細胞株での検討を行い,lumicanの役割について検討できた.
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今後の研究の推進方策 |
NENMS-1以外の細胞株での同様の検討,およびlumican発現抑制細胞での同様の検討を行う.さらに,動物実験による生体内での腫瘍細胞のlumicanの発現の変化やlumicanの制御機構について検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
概ね順調に研究は進んでいるが,次年度以降に継続して培養細胞実験を行うため繰り越しが生じた. 実験のために消耗品のために使用します.
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