研究概要 |
本研究では、がんペプチドワクチンに用いられているCTLエピトープペプチドに対する抗体(抗ペプチド抗体)がどのようなメカニズムで抗腫瘍作用をもつのかを明らかにすることを目的とした。臨床的アプローチとして、種々のがん患者および健常人における抗ペプチド抗体を測定し、生命予後との関連を解析した。抗ペプチド抗体価が高いがん患者においては、生命予後が有意に延長することが明らかとなった。この結果より抗ペプチド抗体は生命予後を予測するバイオマーカーとなり得る可能性があることが示唆された(S Matsueda, et al, Dev. Comp. Immunol., 2013)。すい臓がんにおけるペプチドワクチンと漢方の併用療法の解析において、漢方とワクチンの併用は細胞性・液性免疫応答に有意な影響を与えないことが示唆された(S Yutani, et al, Evid Based Complement Alternat Med., 2013)。 また、基礎的アプローチとして、作製したCTLエピトープに対する単クローン抗体を用いて、vitroおよびvivoでの抗ペプチド抗体の機能解析を実施した。vitroの解析の結果、抗ペプチド抗体は抗原特異的T細胞を活性化する可能性が示唆された。vivoの解析では、マウス腫瘍モデルを作製し、抗ペプチド抗体の有無による抗原特異的CTLの誘導、サイトカイン分泌を解析した。抗ペプチド抗体が抗原特異的CTLの誘導に関与している可能性を示唆するデータを得た。
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