研究課題/領域番号 |
24791453
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
新宮 康栄 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (30617064)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | インスリン抵抗性 |
研究概要 |
目的は1)「インスリン抵抗性と心臓手術の術後心房細動発生との関連を糖尿病および非糖尿病患者に両方において明らかにすること」と2)「インスリン抵抗性と術後の細胞内カルシウム動態および心筋興奮ー収縮連関との関連を糖尿病および非糖尿病患者に両方において明らかにすること」であった。 前向き研究の前段階として施行した後ろ向きの観察研究において、16例の心臓手術患者の術後1日目のインスリン使用量と血糖値の変化から算出した、術後1日目の全身のインスリン抵抗性と心筋興奮ー収縮連関の時間が有意に相関していることがしめされた。さらには、この心筋興奮ー収縮連関の延長が術後の一過性の心房細動の発生に関連してた。術後心臓細動は術前因子や術後の心拍数、血清アドレナリン値、ノルアドレナリン値、脳性ナトリウム利尿ペプチド値によっても予測は不可能であった。 目的1)において全身のインスリン抵抗性と心房細動の関連が示された点、目的2)のインスリン抵抗性と術後の心筋興奮ー収縮連関との関連がしめされた点において成果があった。現在ラットの心筋組織を用い、ex vivoでの組織インスリン反応性をAKT, p38の蛋白発現(ウェスタンブロッティング)で判定する実験方法を確立中である。患者からの心筋採取による研究には病院内の倫理委員会の承認を得る必要があり、現在ラット心筋での実験方法の確立とともに倫理委員会申請書の作成中である。今後は心筋組織のインスリン反応性や細胞カルシウム動態に関連するタンパク発現の検証していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全身インスリン抵抗性と術後心房細動や心筋興奮収縮連関との関連は示唆される結果が得られたものの、ラット心筋におけるインスリン抵抗性の検証方法の確立に難渋しており、臨床での心筋採取にまで至っていないため。
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今後の研究の推進方策 |
ラットの心房筋を用いてex vivoでのインスリンシグナルに関連するタンパク発現の評価方法を確立すると同時に、倫理委員会の承認を経て患者の心房筋採取を施行して心筋のインスリン反応性や細胞カルシウム動態に関連するタンパク発現の検証する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
主にウェスタンブロッティングに使用する試薬や抗体、ラットの購入に研究費を使用する。
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