癌の発生・進展にはさまざまなシグナル伝達経路の関与が知られているが、肺腺癌におけるエストロゲン経路の関与は未だ明らかではない。我々は本研究において、特にEGFR野生型群の肺腺癌では、腫瘍内アロマターゼにより産生されたエストロゲンがエストロゲン受容体ERβを介してエストロゲン経路を活性化させることで、腫瘍の発育・進展に関与している可能性が高く、アロマターゼとERβは予後マーカーとして利用できることを明らかにした。 また、アロマターゼ阻害剤は乳がん治療に広く用いられているが、今回の結果は肺腺癌へのアロマターゼ阻害剤の有用性を裏付ける結果となる可能性があり、非常に有益であったと考える。
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