原発性肺癌におけるエピジェネティックなmiRNAの発現制御を明らかにするために、miRNA 687個をゲノム上に再マップし、ゲノム構造より1)CpGアイランド上にあるmiRNA、2)CpGアイランドの下流1kbp以内にあるmiRNA、3)CpGアイランドが第一エクソンにあり、その遺伝子のイントロンに存在するmiRNAに分類した。DNA脱メチル化剤による処理前後の肺がん細胞株6株での発現状態の変化および肺がん切除サンプルでのmiRNAの発現の検討を行い、miR-34bとmiR-126がDNAメチル化による発現制御を受けること、miR-34bのメチル化が脈管浸潤と相関することを明らかにした。またこれらの解析を通じてmiR-139が肺がんで発現低下していることを見いだした。miR-139はPDE2A遺伝子のイントロン内に位置し、PDE2A遺伝子のヒストン修飾による発現制御を受けることが見いだされた。さらに肺がん切除サンプルにおいて、発現低下群で統計学的有意差を持って縦隔リンパ節転移、及び脈管浸潤と相関が認められた。肺がん細胞株を用いてmiR-139の遺伝子導入を行ったところmiR-139により浸潤能が抑制されることが示された。これらの結果より、肺がんにおけるエピジェネティクス異常による発現制御されるmiRNAが3つ同定され、がんの悪性度に寄与することが示唆された。
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