研究課題
生体吸収性ポリマーであるpoly L-lactide(PLA)に薬剤を混ぜて徐放する技術は当教室で確立しているが、この技術を用いて抗生物質薬剤徐放による感染人工血管作成を試みた。初期モデルはバンコマイシン含有生体吸収性材料を溶媒としてそこに市販の人工血管をdip する単純な含浸モデルを作成した。実際作成してみると薬剤徐放そのものは良いが、生体吸収性材料を液状にする際の有機溶媒が必要であり、そこから様々な問題が生じた。人工血管としての性能が重要であり、作成された人工血管で模擬的縫合を多回数行いハンドリングを含めて検証した。作成された人工血管は厚みが増し針の貫通性が低下し、かつ有機溶媒由来の変化により強度が低下し縫合により比較的容易に裂けることが判明した。厚みは含浸方法を工夫し局所的に厚くならぬよう一定の厚みになるように工夫し対応した。しかし厚み等は我慢できるにしても強度低下は容認できない。有機溶媒と薬剤の比率を変えて調整し強度の調整を行ったが解決は困難であった。さらに有機溶媒完全除去は不能で生体への安全性が担保されないという問題が大きい。初期モデルを臨床に応用するには無理を感じ次期モデルの作成に移った。第二期モデルはエレクトロスピニング法を応用し人工血管表面に粉綿状にコーティーングを行った。同じく縫合試験を行った。ハンドリングは向上し、強度低下はみられなかった。ただ容易にコーティーングが剥げてしまう問題に直面した。本研究のテーマは感染人工血管の開発であるが、その根本は人工血管感染に対する集学的治療の構築である。人工血管感染診断治療に関する国際学会発表(2012年EACTS バルセロナ)ならびに論文投稿(EJCTS採択)も行った。診断治療体系の確立にはリファンピシン含浸グラフトを超える性能の徐放血管の開発が目標である。継続してモデルを作成中である。
3: やや遅れている
生体吸収性ポリマーであるpoly L-lactide(PLA)に薬剤を混ぜて徐放する技術は当教室で確立しているが、この技術を用いて抗生物質薬剤徐放による感染人工血管作成を試みた。初期モデルはバンコマイシン含有生体吸収性材料を溶媒としてそこに市販の人工血管をdip する単純な含浸モデルを作成した。実際作成してみると薬剤徐放そのものは良いが、生体吸収性材料を液状にする際の有機溶媒が必要であり、そこから様々な問題が生じた。人工血管としての性能が重要であり、作成された人工血管で模擬的縫合を多回数行いハンドリングを含めて検証した。作成された人工血管は厚みが増し針の貫通性が低下し、かつ有機溶媒由来の変化により強度が低下し縫合により比較的容易に裂けることが判明した。厚みは含浸方法を工夫し局所的に厚くならぬよう一定の厚みになるように工夫し対応した。しかし厚み等は我慢できるにしても強度低下は容認できない。有機溶媒と薬剤の比率を変えて調整し強度の調整を行ったが解決は困難であった。さらに有機溶媒完全除去は不能で生体への安全性が担保されないという問題が大きい。初期モデルを臨床に応用するには無理を感じ次期モデルの作成に移った。第二期モデルはエレクトロスピニング法を応用し人工血管表面に粉綿状にコーティーングを行った。同じく縫合試験を行った。ハンドリングは向上し、強度低下はみられなかった。ただ容易にコーティーングが剥げてしまう問題に直面した。思わぬ問題にあたり解決が困難で異なるアプローチの模索を要している。
臨床で使われているリファンピシン含浸グラフトに比し、我々の開発しようとしてる感染抵抗性人工血管のメリットデメリット(とくに強度などの問題)がどこまでの性能を発揮できるかは難しい問題である。継続してモデルを作成中である。感染人工血管の開発と本題は必ずしも一致しないが、人工血管感染の診断技能の向上(FDG-PETによる診断)に関する研究開発も本研究の一環として 施行中である。
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European Journal of Cardio-Thoracic Surgery
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10.1093/ejcts/ezs693