研究課題/領域番号 |
24791459
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
寺澤 幸枝 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50566990)
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キーワード | 大動脈手術 / 大動脈瘤 / フェルト / ラッピング手術 / 生体吸収性材料 / ペプチド |
研究概要 |
1. 線維芽細胞・間葉系幹細胞に親和性の高いペプチドの探索:【目的・方法】A. フェルト・ラッピング材料の組織化を促すために、材料に線維芽細胞に親和性の高いペプチドを付与することを考慮して、ハイスループットペプチドアレイ細胞アッセイ法でスクリーニングし、そのペプチド(3残基)を探索した。血管内皮細胞と対比してより線維芽細胞が好むペプチドを探索した。B. 同時に組織化を促す観点から間葉系幹細胞に親和性の高いペプチド(同一アミノ酸7残基)も探索した。【結果】A. 線維芽細胞に比較的影響なく親和性が高く、内皮細胞の接着を避けるペプチドとしてTHT(トレオニン-ヒスチジン-トレオニン)とWQA(トリプトファン-グルタミン-アラニン)が挙げられた。B. I(イソロイシン)やK(リシン)ではRDGよりも有意に高い間葉系幹細胞の接着性を示した。 2. 生体吸収性材料への薬剤混和および徐放効果:【方法】A. ポリ乳酸にドキシサイクリンを混和して薬剤溶出を観察した(in vitroおよびin vivo)。B. ポリ乳酸-ポリグリコール酸共重合体(50:50)にドキシサイクリンを混和して薬剤溶出を観察した(in vitroおよびin vivo)。【結果】A. (in vitro)1日で約5%、14日で約50%、28日で約55%溶出した。(in vivo)1日で約25%、7日で約50%、14日で55%、28日で70%溶出した。B. (in vitro)1日で約25%、7日で約35%、14日で約45%、28日で50%溶出した。(in vivo) 1日で約60%、7日で約80%、14日で90%、28日で100%溶出した。溶出度はポリマーに依存するものと思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定通り、ペプチド探索と材料からの薬剤溶出試験は達成できた。しかし、研究協力者の所属企業(材料供給元)の改組があり、材料の供給が著しく滞ったため、材料の作成に時間を要し、当初計画した通りに材料が作製できず、材料に対する細胞親和性試験や組織化に関するin vivoでの試験が行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ペプチド含有材料(フェルトおよびラッピング材)を作製し、線維芽細胞に対する親和性を検討するとともに、in vivoにおける組織化促進をするか否かを検証する。 さらには、大動物大動脈手術モデルを用いて大動脈吻合時の補填材料として用い、組織化の程度を生化学的・組織学的に定量評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
材料の供給が著しく滞ったため、当初の計画通りに材料が作成できず、消耗品(物品費)等の未使用額が生じた。 昨年度研究の進行が遅れたところの物品購入等に充当する。
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