研究課題/領域番号 |
24791460
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 雅昭 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00623109)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | リンパ組織 / 血清 |
研究概要 |
これまでの実験で、1)ラット肺内気管移植モデルを確立、2)気管移植後の肺組織をex vivoで4日間培養、3)培養上清中の抗ドナー抗体をフローサイトメトリーで検出、4)どうようにレシピエントの脾臓を培養、その上清中の抗ドナー抗体をフローサイトメトリーで検出、5)血清中の抗ドナー抗体をフローサイトメトリーで検出した。その結果、まず組織検査では、allograft移植後のラットレシピエント肺内にリンパ組織新生が起こるが、isograft移植後は軽度に留まることが示された。また免疫組織染色(CD3, PNAd)では、実際に肺内の新生リンパ組織にT細胞、high endothelial venuleが存在することが示された。つづいて、術後4週間の肺組織のex vivo培養では、上清がドナー系ラット(BNラット)脾臓由来のCD3+ T cell に対して反応することが、APC=結合2次抗体を加えてフローサイトメトリーを行うことで示されたが、この現象はレシピエント系ラット(Lewisラット)脾臓由来のCD3+ T cell に対しては認められず、肺内リンパ組織中のB細胞が、ドナー特異的class I 抗体を産生していることが示された。類似の所見はレシピエントの脾臓のex vivo培養、血清でも示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの実験結果は本研究で示したかった最も重要なコンセプト、「肺内新生リンパ組織はドナー特異的抗体(donor specific antibody: DSA)産生の場となりうる」ことをサポートするものである。残り1年の実験は、このDSAが実際にcytotoxicであるかどうか、時系列に沿ってその重要度が脾臓あるいは血清のものとどういう関係にあるか(つまり臨床でantibody-mediated rejectionがおこったあとDSAが検出されなくなることがあるが、それでも慢性拒絶が進行することがあることの説明となりうるか)を検討するものとなる。
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今後の研究の推進方策 |
残り1年の実験は、このDSAが実際にcytotoxicであるかどうか、時系列に沿ってその重要度が脾臓あるいは血清のものとどういう関係にあるか(つまり臨床でantibody-mediated rejectionがおこったあとDSAが検出されなくなることがあるが、それでも慢性拒絶が進行することがあることの説明となりうるか)を検討するものとなる。具体的には異なるタイムポイント(移植後2、4、8、16週)での肺、脾臓、血清のDSAの推移を観察する。後のタイムポイントでは、臨床像に一致して肺での抗体産生が維持され、脾臓・血清では低下すると予想している。また実際の抗体のtoxicityを検討するため、上記実験でえられたDSAの入った培養上清を、naiveなラットの気道に投与し、実際にbronchiolitis obliterans様の病変が形成されるかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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